伊藤 祐輝, 佐田 諭己, 中島 崇裕, 芦沼 宏典, 新行内 雅斗, 齊藤 陽久, 石綿 司, 寺田 二郎, 岩澤 俊一郎, 大槻 歩, 三沢 昌史, 山口 学, 小中 千守, 藤原 大樹, 飯田 智彦, 黒田 文伸, 吉野 一郎
肺癌 61(2) 100-108 2021年4月
目的.実臨床における再生検の現状を明らかにするため,千葉県で多施設共同前向き観察研究を行った.研究計画.2017年9月から2019年3月までに千葉県内7施設で前向き登録を行い,原発性肺癌に対して再生検を施行した73例の臨床病理学的特徴を分析した.結果.生検対象は肺39例,所属リンパ節21例,胸水3例,肝臓3例,骨4例,脳1例,皮膚1例,腋窩リンパ節1例であった.生検法は気管支鏡55例,CTガイド下生検2例,外科生検4例,経皮的針生検12例であった.病理診断は87.6%で可能であり,腺癌の遺伝子変異診断は98.2%で可能であった.分子標的薬耐性化例ではT790Mが47.7%に検出されたほか,組織型の転換を8.6%に認めた.PD-L1免疫染色(22C3)におけるTumor Proportion Score(TPS)は32生検で検討され,0%が37.5%,1〜49%が34.4%,50%以上が28.1%であった.結論.多施設複数診療科の協力によるコンソーシアムにより,千葉県における肺癌再生検の現状が明らかになった.今後も再生検は肺癌の治療方針決定において重要な役割を担っていくと考える.(著者抄録)