大渓 俊幸, 大島 郁葉, 平野 好幸, 須藤 千尋, 羽田野 明子, 吉田 智子, 生稲 直美, 岩倉 かおり, 北橋 美由紀, 高田 護, 齊藤 朋子, 潤間 励子, 清水 栄司, 若林 明雄, 今関 文夫
CAMPUS HEALTH 56(1) 410-412 2019年3月
自閉症スペクトラム症に対する認知行動療法(CBT)の効果予測指標についての予備的研究として、ASDである大学生17名(男性10名、女性7名)と定型発達者17名(男性10名、女性7名)を対象に、CBTや通常の治療(TAU)による脳機能の変化として、流暢性課題(VFT)施行中の脳活動を近赤外分光法により測定するとともに、状態評価として、全体的評定尺度(GAF)、社会的適応自己評価尺度などを用いた測定を行った。その結果、ASD群と定型発達群の比較では、ASD群では全体的な機能や社会適応が低下して支障をきたしており、認知機能の柔軟性を評価するVFT施行時にみられる脳活動が小さかった。また、ASDの学生でみられるVFT施行時の脳活動の大きさと、CBTとTAUの併用によりもたらされるGAFスコアの改善の間には正の相関がみられたことから、VFT施行時の脳活動の大きさが、TAUに加えてCBTを行うことによりもたらされる治療効果の予測指標となる可能性が示唆された。