渋谷 潔, 千代 雅子, 中島 崇裕, 安福 和弘, 黄 英哲, 伊豫田 明, 関根 康雄, 飯笹 俊彦, 廣島 健三, 中谷 行雄, 藤澤 武彦
気管支学 27(8) 592-595 2005年12月
拡大気管支ビデオスコープ(HMB)を用いsquamous dysplasia(Dys)を観察,内視鏡下のangiogenesisを検討した. 1)気管支ビデオスコープ(BF240)とLIFE施行後,HMBにて気管支粘膜の観察を行い,画像解析装置にて血管面積比を算出した. 2)BF240,LIFE,HMB観察後,光源をNarrow Band Imaging(NBI)に切り換えた.NBIでは,Blue 1:400~430nm,Blue 2:420~470nm,Green:560~590nmの狭帯域フィルターに変更,Blue 1は,Hbの吸光度に一致し血管構造が鮮明に描出される. 3)通常倍率と拡大倍率の対物レンズを搭載,同時2画面による通常観察と拡大観察が可能なDual HMBを用いた. 1)Dysでは,気管支粘膜の微細血管網が増生しており,15部位(71.4%)で血管網の増生,蛇行が顕著であった.血管面積比では,正常気管支上皮,気管支炎,squamous dysplasiaの順に増加し,有意差を認めた(p<0.0001). 2)DysのNBI-Blue 1画像では詳細な微細血管,微細血管網,点状血管の観察が可能で,点状血管は,形態計測の結果angiogenic squamous dysplasia(ASD)のcapillary loopの径と一致した. 3)Dual HMBではDys 12部位で明瞭な血管網の増生,6部位で軽度の血管網を認めた.HMBは,特にNBIを用いることでDysの血管網増生,ASDのcapillary loopを捉えることが可能で,Dysのangiogenesisを内視鏡的に確認し得る(著者抄録)