飯笹 俊彦, 穴山 貴嗣, 馬場 雅行, 斎藤 幸雄, 関根 康雄, 鈴木 実, 吉田 成利, 伊豫田 明, 安福 和弘, 本橋 新一郎, 横須賀 忠, 黄 英哲, 千代 雅子, 藤澤 武彦
日本気管食道科学会会報 53(2) 77-82 2002年4月
1985~1999年に切除した原発性肺癌1279例中,他臓器重複癌128例(10.0%)を対象とし,咽喉頭食道領域の重複癌について臨床的検討を加え,他臓器発生重複癌症例ならびに非重複例と比較した.重複臓器は,3重複以上を含め咽喉頭14例,食道12例,胃十二指腸24例,結腸直腸33例,肝胆膵17例,甲状腺3例,子宮卵巣10例,腎尿路12例,乳腺6例,前立腺5例,リンパ節その他3例であった.重複部位別に,咽喉頭食道領域群26例,非咽喉頭食道領域群102例ならびに非重複群1151例に分類した.平均喫煙指数は,咽喉頭食道領域群は他の2群に比べ有意に平均喫煙指数が高かった.咽喉頭食道領域群は有意に扁平上皮癌が腺癌に比べ多かった.原発性肺癌を含む重複癌の発生率は増加傾向であり,肺癌及び咽喉頭食道領域癌の重複癌症例は,肺癌では扁平上皮癌が多く,喫煙と強い関連性を有すると考えられた