国際高等研究基幹

塩尻 大也

Daiya Shiojiri

基本情報

所属
千葉大学 国際高等研究基幹全方位イノベーション創発センター

研究者番号
80974097
J-GLOBAL ID
202101016141971775
researchmap会員ID
R000032022

研究キーワード

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論文

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  • 佐々木 景悟, 武藤 裕花, 塩尻 大也, 小槻 峻司
    AI・データサイエンス論文集 4(3) 602-610 2023年11月  査読有り
    近年,強雨の増加に伴い,水害被害が増加している.降雨流出氾濫(RRI)モデルは,洪水氾濫予測を行う上で重要であり,精度の良い計算にはパラメータの最適化が重要である.洪水氾濫予測の高精度化において将来的には計算負荷の低いパラメータ最適化を用いて,時々刻々と変化するパラメータ推定が有効である.そこで本研究では計算効率の高いパラメータ最適化手法を開拓するために,ベイズ最適化をRRIに適用し,パラメータ最適化に必要な繰り返し計算回数を探索した.結果としてベイズ最適化により,RRIは概ね観測値を再現でき,必要な繰り返し計算が従来手法の2から3オーダー程度削減できることが示された.またベイズ最適化によって推定された評価関数の事後確率から,局所最適解の存在を確認し,局所最適解に陥りにくいベイズ最適化の有効性を示した.
  • 島袋 隆也, 塩尻 大也, 小槻 峻司
    AI・データサイエンス論文集 4(3) 553-560 2023年11月  査読有り
    降雨流出氾濫モデルによるアンサンブル計算には,計算コストの高さがボトルネックとなりうる.そこでモデル出力の浸水深の時系列を高速で模倣可能な,深層学習モデルによるエミュレータを開発した.このエミュレータは降水量の時空間分布を入力することで,同期間の浸水深の時空間分布を出力する.出力はイベント×時間×空間の3次元を持ち,データサイズが大きい.そこで学習の前処理に特異値分解による次元削減を行うことで,汎化性能の高い学習器の開発を試みた.次元削減では,3次元データを行列形式へ変形する必要があり,2通りの手法を試す.その結果,出力のサイズをより小さくする行列への変形・次元削減手法が有効であり,同じ入力から最大浸水深のみを出力するエミュレータと同等の精度を持つエミュレータの構築が可能であると示された.
  • 関 令法, 塩尻 大也, 小槻 峻司
    AI・データサイエンス論文集 4(3) 772-778 2023年11月  査読有り
    地球科学分野では,特異値分解(SVD)などの線形固有直交分解に基づく次元削減手法の応用が進んできた.一方,行列の分解によるその他の次元削減手法である非負値行列因子展開(NMF)は,地球科学分野での利用が未だ限定的な部分に留まる.本研究では,気象庁の解析雨量をSVDおよびNMFによって分解・次元削減し,それぞれより抽出される特徴量を比較する.各手法で次元削減された行列をもとに,AMeDASの観測位置情報から最小二乗法により降水場の復元を行い,両手法の復元精度を評価した.その結果,NMFの方がSVDに比べてよりロバストに降水場を復元可能であることを示した.また,分解された行列から空間・時間の特徴量を可視化した結果,NMFの方がSVDよりも物理的背景をより解釈可能な様に反映していることが示された.
  • 武藤 裕花, 塩尻 大也, 小槻 峻司
    土木学会論文集 80(16) n/a 2023年  査読有り
    全球降水量分布の推定は,世界の災害予測や水資源管理に不可欠である.本研究では,アンサンブルデータ同化に基づき,地上雨量計観測から全球降水量分布を推定する新たな手法を提案する.具体的には,欧州中期予報センターの再解析降水量を用いて第一推定値と背景誤差共分散を構築し,同化観測数制限等の最先端のデータ同化手法も併用することで,全球降水量分布を推定した.推定の入力値とは独立の地上雨量計観測を用いて検証した結果,米国海洋大気庁の既存プロダクトと比較してより高精度な降水量分布が得られることが示された.その主要因は,再解析データから背景誤差共分散を求めることで,各地点の誤差分散や,地点間の誤差共分散が改善されたことだと考えられる.更に,推定手法に同化観測数の制限を課すことが降水分布の精度の向上に寄与した.
  • 藤村 健介, 小槻 峻司, 山田 真史, 塩尻 大也, 渡部 哲史
    土木学会論文集B1(水工学) 78(2) I_409-I_414 2022年10月  査読有り
    データ同化とは現実の観測情報を用いて数値モデルの状態を補正する数理手法であり,モデルの予報精度改善を期待できる.本研究では,降雨流出氾濫(RRI)モデルの水位分布を観測情報で補正するため,今まで検討されてこなかったデータ同化手法であるアンサンブルカルマンフィルタを適用した.初期値の誤差が時間発展によって増加しないRRIモデルに対して,入力である降雨強度に摂動を与えることで同化を安定させ,観測地点と非観測地点の双方で,同化なしRRIに対して水位予測精度を改善した.また,気象分野でのデータ同化では一般的な安定化手法である局所化のRRIモデルでの有効性を探るとともに,より水文モデルに適した手法として河道に沿った局所化を適用し,従来の単純な距離に基づく局所化と同程度の性能を発揮することを確認した.

MISC

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  • 塩尻 大也
    水文・水資源学会誌 36(4) 335-335 2023年11月5日  
    夢と希望にあふれた大学1年生の著者に訪れた,線形代数学の落単という衝撃的な落胆経験.そしてその先に待ち受ける数多の落胆.これらを通して,著者が現在へと繋がる気付きを得る過程を述べる.
  • 塩尻 大也, 小槻 峻司
    水文・水資源学会研究発表会要旨集 36 21 2023年  
    本研究では陸面データ同化システムを構築し、表面土壌水分量の同化実験を行なった。データ同化手法にはLETKFを用い、陸面過程モデルとしてSiBUCを使用した。ただし本システムは他の陸モデルへのポータビリティを意識し,陸モデルとは完全に独立して開発・コンパイル可能な同化システムを構築している。実験は人工的に真値・観測値を作成可能な、観測システムシミュレーション実験(OSSE)にて行った。この結果、陸面データ同化システムが適切に動作することが確認できた。さらに、同化しない変数であるより深い土層における土壌水分量の推定精度も向上することが確認された。
  • 塩尻 大也, 田中 賢治, 田中 茂信
    水文・水資源学会研究発表会要旨集 34 310 2021年  
    これまで陸面過程モデルSiBUCを用いて様々な解析が行われてきており,例えば小槻ら(2012)では全球陸域水循環モデルの主要な要素として全球規模での水資源量推定に使用された.しかし地下水について考慮されてこなかった.そこで本研究では陸面過程モデルSiBUCを改良し,地下水を考慮可能とすることを目的とする. SiBUCでは土層は地表に近い順に1~3層に分割され,第1層は蒸発が発生する表層,第2層は蒸散が発生する根層,第3層は第2層が乾燥した際に水分補給を行う再補給層となっている.これらの層の間での水分移動はリチャーズ式に基づき計算される.本研究では地下水を考慮するために,第3層よりさらに下方に第4層を設け,これを第3層下端から地下水面までの範囲に設定する.土壌第4層の層厚は,時間経過に伴い地下水位が上昇すると小さくなり,逆に地下水位が減少すると大きくなる.このように第4層の層厚は第4層の土壌水分量とともに変化するため,第4層内の土壌水分移動を解くための基礎方程式である質量保存の式に,層厚と土壌水分量の2変数が含まれることとなる.したがって2変数に対して式が1つ足りず,これらの変数間の関係式を新たに用いる必要がある.これを求めるために,本研究では土層を多層に分割し,リチャーズ式に基づいて土壌水分場を詳細に再現できる多層モデルを用いる.この結果2変数間には一定の関係が成り立つことがうかがえた.
  • 丸谷 靖幸, 田中 智大, 内田 典子, 塩尻 大也, 松浦 拓哉
    水文・水資源学会誌 32(3) 148-150 2019年5月5日  
    2018年7月18日から19日にかけて岐阜大学流域圏科学研究センターが管理する高山試験地において「流域圏保全研究ワークショップ」を実施した.本稿では本ワークショップで実施した流域見学ならびに研究発表に対する議論の概要を報告する.
  • 小坂田 ゆかり, 谷口 陽子, 松浦 拓哉, 岡地 寛季, 塩尻 大也, 渡部 哲史, 綿貫 翔, 丸谷 靖幸, 田中 智大
    水文・水資源学会研究発表会要旨集 32 52 2019年  
    水文・水資源学若手会(以下,若手会)は2009年から活動を開始し,主に水文・水資源学会に所属する博士課程学生や若手研究者を中心に構成されている研究グループである.これまで本若手会は,分野を超えたネットワークの構築を目的として他分野交流を中心に活動を行ってきた経緯がある.そして,当時若手会の中心であったメンバーが徐々に学位を取得していくにつれ,水文・水資源学に関わる若手〜中堅の研究者,技術者のコミュニティWACCA(Water-Associated Community toward Collaborative Achievement)といった新たな先進的研究グループも本若手会から発足している.今年度の本グループ活動では,学位取得後も続く他分野交流や学際性の取得を目指して,学位取得前の若手の間でも継続した活動の基盤づくりを行うことを目指した.もちろん学生は自身の研究テーマを深めることが重要であるが,今後はより学際性が求められていくことに加え,学生のうちから様々な分野の同世代と意見交換・議論を行うことで,学位取得後にも役立つ幅広い視野とネットワークが得られると考えた.これらの背景,目的を踏まえ,本要旨では,本年度我々若手会の活動について報告する.

講演・口頭発表等

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共同研究・競争的資金等の研究課題

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