羽石 秀昭, 後野 和弘, 矢口 博久, 三宅 洋一
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 = The transactions of the Institute of Electronics, Information and Communication Engineers 76(2) 325-333 1993年2月25日
本研究では,慢性胃炎の診断上重要と言われる胃粘膜の萎縮性変化に着目し,その進行程度を定量的に解析することを試みる.萎縮性変化の進行程度そのものを内視鏡的に測定する手段は存在しないため,医師が萎縮の程度を判定するために用いている三つの画像情報,すなわち血管透見の程度,粘膜面の退色変化,および粘膜面の不整度に対応する特徴量により定量化することを考える.17例の胃粘膜像についてこれらを算出し,医師による萎縮判定の結果との整合性を調べた.この結果,算出された特徴量と3段階の萎縮判定との比較的よい対応が得られた.更にこれら三つの特徴量の線形和で萎縮度を定量化するモデルを導入し,これにより定量化した萎縮度と医師の判定とのよい対応が得られた.