夏目俊之, 首藤潔彦, 青山博道, 松崎弘志, 河野世章, 大平学, 当間雄之, 早野康一, 斎藤洋茂, 梁川範幸, 赤井崇, 堀部大輔, 阿久津泰典, 川平洋, 林秀樹, 松原久裕
千葉医学雑誌 86(5) 191-196 2010年10月1日
単孔式内視鏡手術が広がりをみせているが,その方法については確立していない。当科では2009年に胃粘膜下腫瘍に対して単孔式手術を導入した。導入に際しての工夫として,術前MDCTを使用した3D画像の作成,また,順次ポート数を減らしていくステップアップ法により,安全に単孔式手術を導入しえた。MDCTの撮影方法の詳細は,発泡剤を内服,非イオン造影剤注入後,動脈相,門脈相の撮影を行う。得られた画像をzio stationを使用し,撮像画像の体表,体表の透明像,胃,粘膜下腫瘍,胃周囲の血管の3D画像をレイヤーとして作成・抽出し,それぞれのレイヤーを重ね合わせて術前シミュレーション画像を作成する。今回,従来の5ポート挿入による腹腔鏡下胃局所切除術症例,単孔式手術への移行期に行った臍部ポート+追加2ポート症例,単孔式のみで行った症例を合わせた計8症例での検討を行った。部位,形体はさまざまであったが,手術時間,出血量には大きな差はなく,スムーズに単孔式手術に移行できたものと考えられた。手術手技の詳細に関しては,臍部を縦切開し,創下筋膜上の剥離をハート型に十分に行い,剥離部よりミッキー型に5㎜の3ポートを挿入すること。管腔外突出型においてはエンドループ○R (エチコン社)をかけ,術者左手で釣り上げた後,右上の操作用ポートを12㎜に交換し,60㎜長エンドステープラーを使用し,切離を行うこと。管腔内腔にも突出している場合は術中内視鏡を併用し,内腔からも確認を行うこと,などである。今後の課題は,切開,縫合等の方向に応じた残胃の形状を術前にシミュレーションすることなどが求められると考えられる。