秋元 晋平, 長岡 智明, 中田 智史, 菊池 悟, 齊藤 一幸, 渡辺 聡一, 高橋 応明, 伊藤 公一
電子情報通信学会技術研究報告. A・P, アンテナ・伝播 107(431) 147-152 2008年1月16日
近年,電磁環境の多様化に伴い,妊娠女性,特に胎児に対するSAR評価が電波防護において,最も重要な研究課題の一つになっている.例えば,妊娠中に業務用無線端末を装着する場合には,携帯電話に比べて業務用無線端末は使用周波数が低く,波長が長いため,人体深部つまり胎児周辺において電磁波エネルギーが減衰しない可能性がある.本稿では,業務用無線端末として150MHz帯筐体付きノーマルモードヘリカルアンテナを妊娠女性数値モデルの腹部近傍に配置し,胎児の様々な胎位における検討を行うために,複数の胎位及び胎盤位置について胎児内SAR解析を行った.その結果,NHAが配置される位置によって,母体深部におけるSAR分布の傾向が大きく変化することがわかった.また,胎盤がアンテナ側にある場合は,胎盤が母体の背中側にある場合と比較して,胎児平均SARが低くなることがわかった.