加藤 貴雄, 加藤 和代, 生沼 幸子, 佐藤 恭子, 西村 芳子, 菅原 一樹, 金井 好恵, 今井 夏実, 川村 梨穂, 佐藤 美恵, 千島 功子, 加藤 賢
日本臨床生理学会雑誌 52(3) 137-144 2022年8月 査読有り
背景:職種による日常業務の違いが高血圧の発症に関係しているかに関しては、十分に解明されていない。対象と方法:東武鉄道社員のうち2010年度の定期健康診断にて無治療で血圧が正常であり、かつ2020年度の健康診断における血圧値が確認できた2,357名を対象とし、2020年度も無治療で正常血圧であった1,879名(正常血圧維持群)と高血圧と判定された478名(高血圧発症群)に分けて特徴を調べた。高血圧発症に関連する可能性のある因子として、同時期に測定されたBMI、尿酸値、HbA1c値、LDL-コレステロール値、eGFR値および別途行ったストレスチェックテストの成績を取り上げ、主として従事している業務によって事務系社員、駅務員、エンジニア、乗務員の4群に分けて比較検討した。結果:(1)高血圧発症率は事務系社員14%、駅務員15.8%、エンジニア19%、乗務員25.2%で、乗務員において他の職種より有意に高かった。(2)高血圧発症群では正常血圧維持群に比して、事務系社員では年齢、BMIおよび尿酸値の増加率、駅務員では年齢のみ、乗務員ではBMIと尿酸値の増加率がそれぞれ有意に高かった。(3)2020年度における年齢(Age≧50)、肥満(BMI≧25)、高尿酸(UA≧8.0)、高血糖(HbA1c≧6.5)、高脂質(LDL-C≧160)、腎機能低下(eGFR<60)と高血圧発症との関連性を多変量解析で見たところ、乗務員において肥満と高尿酸が、事務系社員および駅務員において肥満がそれぞれ独立した危険因子であった。(4)ストレスチェックにおいて、高血圧発症に及ぼす高ストレスの関与は乗務員においてのみ有意であった。結論:高血圧の発症には肥満や高尿酸血症のほか高ストレスが関係していたが、その関与の仕方には職種による差があった。(著者抄録)