山田 勝実, 赤藤 昌彦, 手島 健次郎, 小林 範久, 池田 幸治, 廣橋 亮
日本写真学会誌 57(6) 445-450 1994年
ポリアニリン膜 [PAn] とトリス (2, 2'-ビピリジル) ルテニウム錯体 [Ru (bpy) <SUB>3</SUB><SUP>2+</SUP>] を静電的に取り込んだナフィオン膜を組み合わせることによって, ITO/PAn/Nafion+Ru (bpy) <SUB>3</SUB><SUP>2+</SUP>二層膜電極を作製し, メチルビオロゲン [MV<SUP>2+</SUP>] を含んだ酸性水溶液中においてその光電気化学的な特性を検討した。ITO/PAn/Nafion+Ru (bpy) <SUB>3</SUB><SUP>2+</SUP>二層膜電極への光照射により, 閉回路時には還元電流の増加, 開回路時にはPAnのバイポーラロン状態の形成にもとつく吸収スペクトル変化が認められた。これらの結果は, 励起状態のRu (bpy) <SUB>3</SUB><SUP>2+*</SUP>からMV<SUP>2+</SUP>への光誘起電子移動を利用することによってPAnの光酸化およびエレクトロクロミズムを発現できることを示している。さらに, この系は, 光酸化と電解還元を可逆的に行うことができるため, 書換型の光画像記録素子への応用が期待できることを示した。