松原 克彦, 趙 明浩, 岡住 慎一, 大月 和宣, 三浦 文彦, 首藤 潔彦, 望月 亮祐, 当間 雄之, 郡司 久, 早野 康一, 落合 武徳
胆と膵 25(12) 875-880 2004年12月
経皮経肝的門脈塞栓術(Percutaneous Transhepatic Portal Embolization:PTPE)は現在では多くの施設で行われているが,術前減黄術とPTPEの効果との関係についてはあまり検討されていない.今回,当科でPTPE,減黄処置,手術を施行した18例を対象に,術前減黄術とPTPEの効果に関して検討を行った.術前減黄術は全肝ドレナージを6例に,残肝のみのドレナージを7例に施行した.PTPE前後の容積の変化はCT volumetryにより,予定残肝分肝機能は11C-Methionine PETを用いて算出するDifferential Absorption Ratio(DAR),Functional Volume Index(FVI)により評価した.術後肝不全死症例は生存例に比べてFVIが低い傾向にあった.全肝ドレナージ施行例と残肝ドレナージ施行例ではPTPE後残肝容積増加率,FVI上昇率とも,残肝ドレナージ例が良好であった.FVIはPTPEの適応,効果を評価する上で有用な指標であり,術前減黄術を行う場合,PTPEの効果に関しては,全肝ドレナージよりも残肝ドレナージの方が優れていると考えられた(著者抄録)