倉阪秀史
廃棄物学会誌 14(4) 171-181 2003年
三重県が導入して以来, 全国に広がる傾向をみせつつある産業廃棄物税の動向について把握するとともに, その論点を整理するものである。まず, 2000年4月の地方分権一括法の施行以来, 創設された法定外税を一覧し, 10県市で成立した産業廃棄物税の経緯と内容を整理した。また, 現在, 産業廃棄物税を検討中の都道府県の状況について概観した。次に, 産業廃棄物税をめぐる論点について, 制度設計上の論点, 制度間調整に係る論点, 税の本質に係る論点の三つに分けて整理した。制度設計上の論点としては, 課税のタイプ, 使途, 税率, 中間処理の取り扱い, 非課税措置の取り扱いの5つを掲げた。制度間調整に係る論点としては, 都道府県と市町村の調整, 排出課税と中間処理課税と埋立課税との調整の2点を整理した。税の本質に係る論点としては, 財源調達目的かインセンティブ目的か, 税か課徴金かという2つの事項を掲げた。最後に, 今後の展望を行った。