研究者業績

栗原 伸一

クリハラ シンイチ  (Shinichi Kurihara)

基本情報

所属
千葉大学 大学院園芸学研究院ランドスケープ・経済学講座 教授 (食料資源経済学科長・領域長)
学位
博士(農学)(1996年3月 東京農工大学)
修士(農学)(1993年3月 茨城大学)
農学士(1991年3月 日本大学)

連絡先
kurifaculty.chiba-u.jp
J-GLOBAL ID
200901067249653760
researchmap会員ID
1000221992

外部リンク

1966年に茨城県水戸市で生まれる。茨城高等学校を卒業後,日本大学で学士,茨城大学大学院で修士,東京農工大学大学院で博士の学位を受ける。鯉淵学園(農業栄養専門学校)の講師を経て1997年より千葉大学に勤務。もともとは地域計画や政策評価が専門であったが,近年では食品安全性の経済学的研究や農業センサス・家計調査の個票分析などを中心に研究している。また,米国留学以降はアメリカの大学の教員との共同研究も活発に取り組んでいる。学外でも,国や自治体,農業関連団体の研究プロジェクトや各種委員会に数多く携わっているだけでなく,社会人向けのセミナーを通して統計学の啓蒙活動に力を入れている。大学で担当している授業の内容は,統計学やその応用編である計量経済学,消費者行動論(マーケティング手法)などである。日本農業経営学会奨励賞(1996年),日本大学生物資源科学部学部長賞(1997年),農業情報学会学術奨励賞(2007年)受賞。


研究キーワード

 3

論文

 97
  • Kurihara, S, S. Shimoura, M. A. Brennan
    2007年度日本農業経済学会論文集 2007 204-209 2007年  査読有り
  • SHIMOURA, S, M. Nishiyama, A. Maruyama, S. Kurihara, A. E. Luloff, M. Hirose, T. Matsuda
    農業経営研究 45(1) 137-140 2007年  査読有り
  • NISHIYAMA Mima, SHIMOURA Shinpei, KURIHARA Shinichi, MARUYAMA Atsushi, HIROSE Makito, MATSUDA Tomoyoshi
    Japanese Journal of Farm Management 45(2) 141-146 2007年  査読有り
  • SHIMOURA, S, A. Maruyama, S. Kurihara, M. Nishiyama, T. Matsuda, A. E. Luloff
    2007年度日本農業経済学会論文集 2007 270-277 2007年  査読有り
  • 大庭隆嗣, 平野達朗, 栗原伸一
    農村計画学会誌 25 413-418 2006年12月  査読有り
    The ultimate goal of this paper is the establishment of a sustainable local food movement in Japan. In order to achieve this goal, we evaluated the causal structure of consumers' preference to "local foods". A mail survey in the Tokyo metropolitan area was used to collect the data. The results show that consumers' knowledge of Chisan-Chisyou is limited, but they do tend to usually buy local foods. Consumers' preferences for local foods are affected by "safety", "relationship with community" and "interest in agriculture". But, in this model, it can't show the influence of consumers' evaluation at shops, such as brand, freshness and in season or not.
  • 室伏 哲雄, 栗原 伸一
    SNEジャーナル 12(1) 116-138 2006年10月  査読有り
  • 栗原 伸一, 霜浦 森平
    農業経営研究 44(2) 62-65 2006年9月  査読有り
  • SHIMOURA, S, S. Kurihara, A. E. Luloff
    Hort Research 60 67-73 2006年3月  査読有り
    都市農村交流による内発的発展を行なうためには,地域農業との連携,都市住民の役割と機能の拡大,地域環境資源利用の三つの条件を満たすことが求められる.そこで,本報告では,都市農村交流の取り組みについて,上記した三つの視点を踏まえた検討を行ない,都市農村交流の課題と方向性について議論した.事例として,京都府美山町,兵庫県人千代町,奈良県明日香村で取り組まれている都市農村交流を取り上げた.各事例を検討した結果,三つの条件すべてを満たす事例は無かった.都市農村交流の今後の課題として,これら三つの条件を組み込むための方策を検討していく必要がある.
  • 青木 紀美子, 霜浦 森平, 栗原 伸一, 大江 靖雄
    農業経済研究. 別冊, 日本農業経済学会論文集 2005 265-270 2006年3月  査読有り
  • 栗原 伸一, 丸山 敦史, 霜浦 森平, 西山 未真, Luloff A. E, 廣瀬 牧人, 松田 友義
    食と緑の科学 : HortResearch 60 99-108 2006年3月  査読有り
    アメリカ産牛肉の輸入再開や鳥インフルエンザの流行などによって,国民の関心が再び高まっている「食の安全性」であるが,こうした社会的不安の背景として,最近のライフスタイルの変化や食品産業の巨大化に伴う情報の偏在を指摘できる.しかし,その最も根本的な原因としては,行政を含めたフードシステム関係者が,消費者に対し,食品を「安心」して買える環境を未だに提供できていないことをあげておかねばならない.わが国においても,HACCP等の普及により,「安全性」の確保については整備が進んでいるといって良いであろう.しかしながら,消費者にとっての安全性とは,実際には安心度と等しいものである.従って,業界関係者にとって最も重要な課題は,どのような情報をどうやって消費者に伝えることが彼らの信頼を得ることにつながるのかについて検討することであろう.本研究では,こうした問題意識のもと,消費者を安心させるためのシステム構築に資することを最終目的とし,2005年度から実施している調査研究の計画内容と成果について報告を行なった.本調査は,具体的には,国内外におけるトレーサビリティおよび食品のラベル表示についての現状と規制の動向を把握するための現地調査,および消費者に対する意識調査から構成されている.初年度に行った調査は,アメリカ東部での現地調査と,わが国の首都圏の主婦に対する郵送アンケート調査である.その結果,現地調査においては,(1)アメリカでも畜産物のトレーサビリティの導入が検討されてはいるものの,コストの問題などにより法制化が十分に進んでいないこと,(2)オーガニック食品の市場が急成長しているが,競争の激化により価格プレミアムが縮小していること,(3)様々な地域問題を解決する手段として,州政府が積極的にローカルフードのブランド化を推し進めていることなどが分かった.また,意識調査に関しては,牛肉,野菜,地元産農産物という対象財の違いによって3種類の調査票を作成し,1万件に配布した.現在回収中であるため,結果については紹介できなかったが,得られたデータを多角的に分析することによって,(1)食品を購入する際に,どのような情報を消費者は重視しているのか,(2)BSEに関連して,人へのリスクやアメリカ産牛肉の輸入再開についてどのように考えているのか,(3)地場産というブランドをどのように評価しているのか,などについて明らかになる予定である.また,研究2年目に当たる2006年度以降は,中国やEUなどでの現地調査,およびアメリカにおける電話による意識調査を実施し,国際間比較を行うことを計画している.
  • 栗原 伸一, ルロフ A. E, フィンリィ J. C
    2005年度日本農業経済学会論文集 2005 472-476 2006年3月  査読有り
  • 栗原 伸一
    食と緑の科学(千葉大学園芸学部学術報告) 60(60) 35-41 2006年3月  査読有り
    戦後,急速な規模拡大を推し進めてきたわが国の酪農経営は,一方では過剰な輸入飼料依存や糞尿公害などの問題などを引き起こし,近年では市場の低迷なども加わり,大変厳しい状況にある.今後も環境面での各種規制の強化や飲用生乳の輸入自由化なども予想されることから,早急に新たな展開方向を探る必要がある.本研究は,その最初の段階として,酪農全国基礎調査のデータをもとに,現在,経営内容がどのような要因と構造で決定されているのかを,それらの因果関係を含めて分析した.その結果,以下のようなことが明らかになった.まず,クロス集計などの記述的な分析からは,(1)経営主の平均年齢は54歳で,2〜3名による家族経営が大半であること.(2)新しい技術や設備の導入率を始めとした多くの経営指標で規模との相関が見られるが,生産成績や臨時雇用者数などでは規模との関連性は確認できないこと.(3)酪農後継者については,特に北海道で恵まれているが,良好な経営であることよりも就業の機会に恵まれていないことが影響していることなどが明らかになった.次にSEMを用いた計量的な分析からは,(4)多くの経営内容や将来計画に影響を与えているのは,経営主の積極性であるが,それを規定しているのは,現在の経営規模や年齢であること.しかしながら,(5)積極的な経営でも生産成績を向上させることは難しいことなどがわかった.以上のことから,険しい将来が待ち受けているわが国の酪農経営に処方箋を書くに当たっては,経営主の年齢や営農地域などの所与の環境に応じつつも,多くの経営指標に直接・間接的な影響を与えている「経営主の積極性」を向上させるような指導・支援内容を策定することが効果的であるといえるが,乳量などの生産成績については別途方策を練る必要があろう.
  • 栗原伸一, 霜浦森平
    農業情報研究 15(1) 15-24 2006年  査読有り
    多くの農村では, 急速に進む高齢化や過疎化によって, 多面的機能を有する地域資源の維持管理が難しくなってきている. また, 地域を問わず, 子供に対する犯罪や高齢者の孤独死の増加なども危惧されている. しかしながら, こうした地域の問題は, 本来, コミュニティが正常に機能していれば, その多くは防げる性質のものである. 本研究では, そうした問題意識のもと, コミュニティに関する意識調査を千葉県の住民に対して実施し, その実態と評価の要因を都市・農村間で比較分析した. その結果, 農村では現在でも高齢者などによって伝統的な文化・行事が守られ, 比較的地域住民のまとまりが強いが, 都市ではコミュニティでの共同活動は環境美化作業など限定的であることが確認された. そして何れの地域でも, そうした活動への参加は, 町内会や自治会行事であるためという, ネガティブな理由であった. また, コミュニティに対する満足度評価の要因分析を通して, 婦人や若者の意見を反映したり, 新旧住民の交流の機会を創造することによってコミュニティを再評価させることや, 既に様々な面で地域の柱の一つとなっている町内会・自治会を上手く利用することも, コミュニティ活動の促進には有効であることが示唆された.
  • 霜浦 森平, 栗原 伸一
    農村計画学会誌 = Journal of Rural Planning Association 24 127-132 2005年11月  査読有り
    This paper conducted input-output analysis of the economic effects on gross value-added by basic pension finance increase at Hikata-town and Matsudo-City in Chiba-prefecture. The economic effects were measured in the simulation of additional household consumptions with basic pension finance increase. This finance increase is attained by allocation from public enterprise expenditures. The results were as following. Firstly, the amounts of economic effects at Hikata-town were small in comparison with the one at Matsudo-City. Secondly, in Matsudo-City, the multiplier, which is shows the marginal effect in case of additional household consumptions with basic pension finance increase by allocation from public enterprise expenditures, was bigger than Hikata-town. Thirdly, industries which increase outputs were deferent between Matsudo-City and Hikata-town.
  • 栗原 伸一, 霜浦 森平
    千葉大学園芸学部学術報告 59(59) 47-57 2005年3月  査読有り
    少子高齢化が進む一方,長引く景気低迷から新たな税源確保も難しい我が国において,財政をいかに効率良く支出するかという「資源の最適分配」はもっとも重要な問題の一つである.そこで本研究は,地域住民を対象とした意識調査を行い,財政構造に関する意識や要因を都市・農村などの地域間比較を中心に整理・考察した.その結果,以下のようなことが明らかになった.(1) 現在行われている公共事業や社会保障に対して,地域住民の大半が「(やや)不満」に感じていた.(2) 公共事業費については,効率化による予算削減を望む者が多かったが,地方部では集落排水などの農村整備に対する選好も比較的高かった.(3) 社会保障費に関しては,農村を筆頭に多くの者が「増額」を望んでいたが,赤字公債発行によるこれまでの景気刺激型財政支出に対する嫌気と相まって,相対句なウェイトは小さかった.また老後等に備えての貯蓄額は平均5万円/月程度であった.(4) 予算支出の総額を抑えた再建型財政に対する選好が高かった.こうした分析の結果は最近の世論とも整合的であり,また都市農村で比較した場合,農村部では公共投資に関して寛大であり,社会保障費の希望増額が都市部よりも若干大きいことが分かった.こうした地域住民の選好を土台にして,財政決定を計画すれば納税者の効用度も向上し,納税者のコンセンサス獲得へとつながると考えられる.
  • 松本 和子, 霜浦 森平, 栗原 伸一, 大江 靖雄
    千葉大学園芸学部学術報告 59 69-74 2005年3月  査読有り
    本稿では,栃木県茂木町で取り組まれているリサイクルシステムを事例として,地域住民の生ゴミ分別への協力要因と要因連関構造について明らかにした.具体的には,(1)ロジットモデルを用いた生ゴミ収集への協力要因の解明,(2)POSA (Partial Order Scalogram Analysis)を用いた協力要因の構造の検討を行なった.分析データは茂木町在住の住民を対象に実施したアンケート調査の結果をもとにしている。明らかになった点は,次に示す通りである.第1に,生ゴミ収集の要因は,「他者がごみ収集に協力しているという意識」,「循環型社会の理解度」の二つである.逆に,非協力要因は,「会社員」,「小家族」,「大家族」である.第2に,POSAの結果,ゴミ分別収集への協力を効率的に促進するための手順として,まず「循環型社会の理解度」を高め,続いて「分別収集の手間」を緩和し,最後に「他者がゴミ収集に協力しているという意識」を高めるべきであることが明らかとなった.
  • 霜浦 森平, 栗原 伸一
    千葉大学園芸学部学術報告 59(59) 59-68 2005年3月  査読有り
    財政問題や環境問題の先鋭化,少子高齢化による社会保障制度の改革が進む中で,国や地方自治体の財政運営は公共事業型から社会保障型ヘシフトしつつある.本研究では,地方部(和歌山県)と都市部(埼玉県)を対象とし,産業連関分析を用いて公共事業部門と社会保障部門の就業誘発効果を計測した.第1の課題として,公共事業部門,社会保障部門における就業誘発効果について,地域間,部門間の比較・検討を行なった,第2の課題として,財政運営を公共事業型から社会保障型へ移行させた場合の就業誘発効果について,シミュレーション分析を行なった.以上の検討から得られた主な論点は,以下の3点である.第1に,就業誘発係数は,公共事業部門に比べて社会保障サービス部門の方が大きかった.また,公共事業部門,社会保障サービス部門ともに,和歌山県に比べて埼玉県の方が就業誘発係数は大きかった.第2に,シミュレーション分析の結果,公共事業投資額を削減し,社会保障サービス支出と社会保障給付を増加させた場合の就業誘発効果は,埼玉県に比べ和歌山県の方が大きかった.第3に,シミュレーション分析の結果,失業率の減少幅は,埼玉県に比べて和歌山県の方が大きかった.公共事業型から社会保障型へ財政運営が以降することによる雇用への影響は,移輸入率,労働力投入率,人口規模,労働力人口規模により,地方部と都市部では異なることが明らかになった.地域間における社会的,経済的な条件の違いを考慮し,財政運営の制度設計を進めることが求められる.
  • 栗原 伸一
    フードシステム研究 12(2) 5-21 2005年  査読有り
  • 霜浦 森平, 栗原 伸一
    農村計画学会誌 = Journal of Rural Planning Association 23 163-168 2004年11月  査読有り
    In this Paper, input-output analysis of the induced effects on local employments by social-security sector and public enterprise sector, were conducted. The results were pointed out as followed. (1) The size of multipliers of social-security sector are larger than public enterprise sector. And also, both of the multipliers in Saitama Prefecture are larger than Wakayama Prefecture. (2) The various simulations, changing output of two sectors following decision of residents, was conducted. As a results, firstly, employments in Wakayama Prefecture declined more than Saitama Prefecture. Secondly, in the both Prefectures, induced employments increased in the industries such as primary industry, carrier, education, social-security and service for household-consumption. But then, the amounts declined in the industries such as manufacture, construction, commerce and service for firms-consumption.
  • 丸山 敦史, 栗原 伸一, 松田 友義, 児玉 剛史, 澤田 学
    2004年度日本農業経済学会論文集 2004 187-192 2004年11月  査読有り
  • 栗原伸一, LULOFF A E
    農村計画論文集 23 19-24 2004年11月  査読有り
    The damage caused by wild animals in agriculture and forestry is becoming serious in Japan. Thus we examined how to put this issue under control by the case study that we conducted in Pennsylvania where sport hunting was implemented for managing deer population. We analyzed our survey data for deer hunters there. The results of this study provide a useful perspective for tackling the same problems happening in rural Japan.
  • 青田 佳保里, 霜浦 森平, 栗原 伸一, 大江 靖雄
    農業経済研究. 別冊, 日本農業経済学会論文集 2004 296-301 2004年11月  査読有り
  • 横内 宣敬, 霜浦 森平, 栗原 伸一, 大江 靖雄
    2004年度日本農業経済学会論文集 2004 257-262 2004年11月  査読有り
  • 岡部 光成, 栗原 伸一, 大江 靖雄
    千葉大学園芸学部学術報告 第58号,pp.29-40. 29-40 2004年3月  査読有り
    本研究は,家族経営協定の事後評価を行い,構成員別に比較分析することによって,評価要因を明らかにした.具体的には,埼玉県の協定締結農家を対象にアンケート調査を行い,得られたデータから満足度とその要因を記述的に捉えた後,統計的検定手法や数量化理論を用いて,締結後の評価に寄与する要因を多角的に考察した.その結果,埼玉県では比較的大規模な園芸農家において締結されており,女性を含む協定率が多く,協定内容には労働に関する条項が多いものの,行政が提示する雛形の域を脱していないことが分かった.そして,協定の本来のターゲットである女性労働者に関して次のようなことが明らかになった.(1)同じ女性農業者でも経営主の妻と後継者の妻とでは,家族協定に対する満足度やその要因は異なっている.(2)後継者の妻においては,家事労働が軽減されていないことと,研修会やグループ活動への参加の機会が少ないことが,家族協定に満足できない要因となっている.(3)経営主の妻が家族協定に満足するには,後継者の妻も加わり,経営計画立案段階からの参加や,家庭内での地位や役割が明確化された内容であることが必要である.
  • 江渕 裕子, 大江 靖雄, 栗原 伸一
    千葉大学園芸学部学術報告 第57号,pp.79-87 79-87 2003年3月  査読有り
    近年,棚田の多面的機能は重要視され,全国的に維持・保全活動の動きが出てきたが,一方で高齢化・後継者不足等の諸問題が年々深刻化し,保全が困難な状況になりつつある.石川県輪島市の白米千枚田も,このような危倶が持たれている棚田の一つである.こうした中,ボランティアへの依存が今後さらに高まることが予想される.そこで本稿では,白米千枚田の主な保全関係者である,農家・市役所を対象に聞き取り調査,現在ボランティアに参加している人々を対象にアンケート調査を実施し,棚田保全に関する意識を定量的に解明し,今後の保全活動のあり方について検討を行った.聞き取り調査の結果からは,ボランティアが白米千枚田の保全にとって,大変重要な存在となっていることが確認された.また,アンケートの集計結果より,各組織単位でもボランティア個々においても今後活動を続けていく意向があるということ,ボランティア活動の「楽しさ」と棚田景観の「美しさ」が今後の保全活動の原動力となっていること,また,ボランティアの参加意欲においても棚田景観を美しいと感じていることに深く関わっていること,が明らかとなった.これらのことから,参加のきっかけは組織的なものであるにせよ,白米千枚田の景観美が,ボランティアによる保全活動を支える要因となっているといえよう.棚田保全活動を一層強固なものにするには,この要因を効果的に取り入れた保全策を講じていくことが重要である.
  • 横内 宣敬, 大江 靖雄, 栗原 伸一
    千葉大学園芸学部学術報告 第57号,pp.89-95 89-95 2003年3月  査読有り
    2000年度,中山間地域における多面的機能の維持を目的とした「中山間地域等直接支払制度」がスタートした.本稿では,千葉県安房郡の富浦町・富山町・鋸南町を対象に,直接支払制度における集落協定の締結要因について計量分析を行った.本稿で明らかになった要因は,第一に十分な労働力を保有していること,第二に専業的な経営形態であること,第三に自作意欲が高いこと,第四に集落内の複数農家がある一定水準以上の農業生産レベルを維持していること,第五に集落内に活発なコミュニケーションが存在することである.最後に本稿の計測結果から明らかになった要因は,耕作放棄発生要因に関する過去の研究結果と整合性があり,本制度は,限界農地の耕作放棄発生防止策として機能しておらず,制度の持つ選別的な機能が確認された.また,その一方で自作意欲の高い専業的な農家経営に対する支援としては予防保守的な有効性をもっていることが確認された.以上の結果から,今後の直接支払制度の政策的課題は,第一に農家の営農継続に対する支援が必要であること.第二に集落内のコミュニケーションの活性化策や,若い担い手を定着させるようなソフト面の支援策が必要であることである.
  • 西沢 静生, 栗原 伸一, 大江 靖雄
    2002年度日本農業経済学会論文集 pp.197-202. 197-202 2002年11月  査読有り
  • 杉山 幸子, 栗原 伸一, 大江 靖雄
    千葉大学園芸学部学術報告 第56号,pp.107-116. 107-115 2002年3月  査読有り
    双方向的でより多面的な機能を有したインターネット産直について,その効果の評価を行った.全国のHPを持つ農家を対象にアンケート調査を行った結果,プラス効果としては,第一に注文件数につながる直接的なもの,第二に情報交流などの間接的なものがあり,さらに第三の効果として余暇を利用した趣味的ものがあることがわかった.注文件数につながる直接的効果を得るには,一定以上のネットワークと,消費者に対する情報提供,そして経験年数が必要である.また交流等の間接的効果には,メールや掲示板・伝言板といった情報送受信手段の利用が大きく作用する.しかし,問題点として決済機能の不備,信頼関係構築の難しさが挙げられる.決済機能の不備には電子マネー等,技術及び法制度面での解決が求められる.経営者にとって一番の課題は,消費者との信頼関係の構築であると考えられる.そのためには,ある程度のインターネット利用経験の蓄積が必要であり,専業農家は新しい販売方法に対し柔軟に取り組むべきであろう.それには,現状ではあまり評価されていないJAや自治体などからの支援が求められる。さらに,インターネット産直の発展のためには,需要者である熟年世代の若年層とのインターネットリテラシーの格差を縮小することも重要である.また,今回の調査にはインターネットを用いたが,低コストや時間が短縮できるなど,他の調査方法の良い面を併せ持っており,今後はアンケートの主要な手段の一つとして普及していくことが予想される.
  • 栗原 伸一, 大江 靖雄
    千葉大学園芸学部学術報告 第56号 ,pp.97-106 97-105 2002年3月  査読有り
    農林漁業体験民宿を中心としたグリーンツーリズムによる地域活性化の経済効果を,全国で最も体験民宿が集中している長野県飯山市を事例に,アンケートや地域産業連関分析等によって測定した.その結果,体験民宿利用客1人当たりの消費額は1万7千円程度となり,その年間宿泊者数を現在よりも30万人多い160万人確保できた場合,飯山市への直接的な経済効果は272億円,間接的な波及効果を加えた総合経済効果はその1.24倍の338億円となることが分かった.当初,民宿をはじめとした宿泊施設は生産に直接関わっていないため,それほど大きな波及効果は期待できない可能性もあったが,農産物の販売や食料品の仕入れなどを通した生産誘発効果が,農林水産業や商業,製造業に対して比較的大きく存在していたことは注目すべきであろう.また,飲食業をはじめとしたサービス部門に対する波及効果も大きいことから,今後は,体験民宿を初めとしたより高付加価値型のツーリズムの確立が地域活性化には肝要であろう.
  • 杉山 幸子, 栗原 伸一, 大江 靖雄
    農業経済研究. 別冊, 日本農業経済学会論文集 2001 107-112 2001年11月  査読有り
  • 栗原 伸一, 吉田 昌之
    農村計画学会誌 20(1) 41-52 2001年6月  査読有り
  • 石本 秀正, 栗原 伸一, 大江 靖雄, 吉田 昌之
    千葉大学園芸学部学術報告 54 65-71 2000年3月  査読有り
    近年,中食は,内食と外食に続く第3の食として消費が増加しているが,その消費行動については,ほとんど解明されていない.そこで本研究では,大学生へのアンケート調査結果にもとづき,弁当・おにぎり・サンドイッチなどの「中食」の消費行動について分析を行い,その要因を明らかにした.本研究の分析結果から,利便性が中食利用の最も大きな理由であること,男子学生の方が女子学生よりも利用頻度が高いこと,さらに自宅通学生よりも自宅以外からの通学生の方が利用頻度の高いこと等が明らかにされた.
  • 丸山 敦史, 栗原 伸一, 松田 友義, 菊池 眞夫
    千葉大学園芸学部学術報告 54 95-104 2000年3月  査読有り
    本稿は,消費者の食品安全性に対する選好及び受容態度を,特に卵のサルモネラ感染のケースについて明らかにしようとするものである.調査は,無作為に抽出された松戸市民に対する郵送アンケートにより行われ,仮想されたリスクレベルによるWTPの違いを調べるため,仮想リスクレベルが異なる二種類のシナリオを用意した.調査結果は,低いリスクレベルが達成されているシナリオが提示された解答者,生や半熟の卵を食べることを好む解答者が,平均的により多くの金額を安全性に対し支払う意志があり,また,二割強の消費者にとって食品安全性は,卵を購入する際の最も重要な要素であることが明らかになった.さらに,解答者のリスクに関する事前評価は多様であること,WTPとの間に一定の関連性を有することが観測された.
  • 栗原 伸一, 松田 友義
    農業経営研究 37(2) 1-10 1999年9月  査読有り
  • 栗原 伸一, 丸山 敦史, 松田 友義
    フードシステム研究 6(2) 57-68 1999年  査読有り
  • 栗原 伸一, 丸山 敦史
    農業経営研究 36(2) 35-44 1998年9月  査読有り
  • 栗原 伸一, 谷澤 厳
    農村計画学会誌 15(2) 61-66 1996年9月  査読有り
  • 栗原 伸一
    農業経済研究 67(4) 210-217 1996年3月  査読有り
  • 栗原 伸一
    農業経営研究 33(2) 62-69 1995年9月  査読有り
  • 鄭 岩宇, 栗原 伸一, 馮 捷
    農村計画学会誌 13(3) 23-34 1994年12月  査読有り
  • 栗原 伸一
    農業経営研究 32(2) 7-19 1994年9月  査読有り
  • 馮 捷, 栗原 伸一, 鄭 岩宇
    農村計画学会誌 12(4) 9-20 1994年3月  査読有り
  • 栗原 伸一, 馮 捷, 鄭 岩宇
    農業経営研究 32(1) 1-11 1994年  査読有り
  • 栗原 伸一
    日本大学 1991年3月  

MISC

 27

書籍等出版物

 16

講演・口頭発表等

 6

担当経験のある科目(授業)

 15

共同研究・競争的資金等の研究課題

 18

学術貢献活動

 3

社会貢献活動

 3