田島 英朗, 吉田 英治, 仁科 匠, 菅 幹生, 脇坂 秀克, 高橋 美和子, 永津 弘太郎, 辻 厚至, 鎌田 圭, 吉川 彰, Parodi Katia, 山谷 泰賀
日本医用画像工学会大会予稿集 40回 478-481 2021年10月
我々が開発したWGI(Whole Gamma Imaging)の小動物実証機は,世界初のフルリング型コンプトンイメージングシステムであり,これまでに高精細なマウス画像が得られたことを報告した.フルリングにより高感度化を達成したことが要因の一つとして考えられるが,理論的にコンプトン画像再構成の条件としては必ずしもフルリング型である必要性はなく,検出器の削減により,感度は犠牲になるが,コスト削減や設計の柔軟性向上が期待できる.しかしながら,実際には散乱角度の検出限界やブロック型の検出器配置の影響等で,再構成条件は保証されていない.そこで,本研究では,試作装置の測定データを限定することで部分リング化し,フルリングの場合と比較することで,コンプトン画像再構成に必要なジオメトリ条件を実験的に検討した.円筒型ファントムの測定データを用い,再構成画像を視覚的に評価した結果,散乱検出器もしくは吸収検出器に囲まれる範囲が180°未満の領域が物体にある場合,画像にアーチファクトが生じたが,物体全域が散乱検出器と吸収検出器の共に180°以上囲まれている場合には,フルリングと同様にアーチファクトのない画像が得られた.よって,WGIコンプトン画像再構成の完全性条件として,散乱検出器,吸収検出器共に,対象視野全域を180°以上共通の角度範囲として囲む必要があることが示唆された.(著者抄録)