西村 勇輝, 笠松 厚志, 宮本 勲, 伊豫田 学, 中嶋 大, 鵜澤 一弘
日本口腔腫瘍学会誌 35(4) 123-130 2023年12月
Epstein-Barr virus陽性粘膜皮膚潰瘍(EBVMCU)は,口腔咽頭,皮膚,消化管に生じる成熟B細胞腫瘍である。2017年に造血器腫瘍のWHO分類においてEBVMCUの疾病概念が確立したが,口腔内に生じたEBVMCUの報告例は自験例を含め未だ稀である。今回,右側上顎歯肉部の有痛性腫瘤を1ヵ月前から認めた79歳女性の症例について報告する。患者は関節リウマチで11年間メトトレキサートを使用していた。生検標本の病理所見とPET-CTの画像所見よりEBVMCUの診断に至った。EBVMCUは化学療法を行わずとも寛解が期待できる疾患であり,今回,MTXを休薬することで自然寛解に至っており,その後18ヵ月間再発は認めていない。(著者抄録)