杉山 公美弥, 相良 博典, 足立 満, 美濃口 健治, 田中 明彦, 井上 洋西, 山内 広平, 小林 仁, 秋山 一男, 釣木澤 尚実, 谷口 正実, 棟方 充, 斉藤 純平, 佐藤 俊, 三嶋 理晃, 新実 彰男, 松本 久子, 大田 健, 足立 哲也, 長瀬 洋之, 中島 裕史, 加々美 新一郎, 岩本 逸夫, 福田 健, 厚生労働省免疫アレルギー疾患予防,治療研究事業気管支喘息の慢性化・難治化の予防を目指す早期介入療法のための早期診断法の確立に関する研究班
アレルギー 57(12) 1275-1283 2008年12月
【目的】気管支喘息の初発症状は,典型的な症状を呈しないことも多く,診断に時間を要し重症化する例も稀ではない.気管支喘息は,治療の早期介入が重症化・難治化を予防することが判明している.このような背景により,今回,早期診断基準の作成を行った.【方法】発症初期の症状が判明し,気管支喘息と確定診断されている388症例の初発症状および初診時の検査所見を解析した.【結果】発症初期の自覚症状は,咳嗽が79%,喘鳴68%,呼吸困難49%であり,典型的な症状を呈しない症例も15%存在していた.初診時に異常を呈していた検査所見は,気道過敏性亢進(99%),%V25低値(92%),喀痰中好酸球3%以上(82%),%V50低値(77%)の順であった.一方,FEV1%は67%が正常であり,気道可逆性検査の陽性率は約半数と,発症初期での診断には適さないことが判明した.【結語】以上の結果より,気管支喘息の早期診断基準案は,以下の3項目とした.1,発作性の喘鳴ないし呼吸困難ないし咳の反復.2,(1),(2)のいずれかを満たす.(1)気道過敏性陽性(2)A.喀痰好酸球3%以上,または,B.%V50 70%以下または%V25 50%以下,または,C.気管支拡張薬による症状の改善(咳単独の場合はC).3,1の原因となる他心肺疾患の除外.(著者抄録)