松山 光一, 金原 信久, 阿久津 実彩, 佐々木 剛, 小松 尚也, 伊豫 雅臣
精神科治療学 39(3) 341-346 2024年3月
22q11.2欠失症候群(以下,本疾患)は先天性心疾患や特徴的顔貌,そして精神疾患の合併が多いことで知られている。今回我々は,神経発達症や統合失調症として治療が行われ,先天性心疾患の既往や特徴的顔貌を欠くも後に本疾患と診断された症例を経験したので報告する。症例は20代前半女性。薬物療法を行うも,精神病症状,特に爆発性や衝動性を伴う滅裂な言動は改善せず,治療に難渋した。本疾患を疑い遺伝子診療科にコンサルトしたが,先天性心疾患の既往と特徴的顔貌を欠き疑いにくいとされた。翌年再度コンサルトを行い,遺伝子検査で本疾患との診断が確定した。本疾患は先天奇形の既往がないと診断されにくいとの報告があり,本邦で本症例のような経過での報告は,管見の限り初出である。先天奇形の既往が無くとも,神経発達症と精神病症状が存在し,特に爆発性や衝動性を伴う精神運動興奮が前景に立つ場合には,本疾患を鑑別することが望ましい。(著者抄録)