井出 成美, 宮崎 美砂子, 山田 洋子, 高屋 順子, 平山 朝子
千葉看護学会会誌 5(1) 71-77 1999年7月
自治体で働く保健婦(士)31名から,保健婦(士)らしいと自己評価する活動をひとつ挙げてもらい,その活動における保健婦(士)らしさの自己評価理由等を調べ,行政サービスとして機能する看護の特質について,保健婦(士)の認識から検討した。21項目の自己評価理由が抽出でき,これらを,活動の対象の捉え方・活動過程の段階・行政職であることと看護職であることの使命の要素が含まれているかという観点で分析した結果,保健婦(士)の認識する行政サービスとして機能する看護の特質として,次の4点が見いだせた。すなわち,1.行政職という公職者として,住民個々の支援ニーズに応えるのみでなく,全ての住民への公平性という観点から,公共施策の介入が必要な課題として吸い上げていく過程.2.住民の主体的な健康生活の実現のための,関係者の調整など,周りの条件を整えていくような間接的な役割機能.3.恒常的にコミュニティや生活共同体全体を援助対象と認識しており,その活動過程で個人・家族・同様の課題を持つ他の人々・地域住民全体と,その援助対象として認識する対象をスライドさせつつ活動していること.4.それらの活動過程における判断プロセスに特徴があることの可能性.である。