鈴木 俊光, 楠本 一生, 亀井 克彦, 大谷 直史, 鈴木 恒雄, 松田 美彦, 古藤 雅彦
日本胸部疾患学会雑誌 24(2) 123-129 1986年 査読有り
多量の気道分泌液を出す病態において喀出時の苦しみは, 特に呼吸不全患者においては死の苦しみとなる. この苦しみを緩らげるためには, その喀出量のコントロールが可能となればと研究を始めた. 症例数は21例 (男11: 女10), 平均年齢56.6歳 (32歳~76歳). 疾患別では, 副鼻腔気管支炎8例, 汎細気管支炎4例, 慢性気管支炎3例, 気管支拡張症2例, 間質性肺炎3例, 気管支喘息1例. 観察期間は172.2日間 (5日~420日).これらの内呼吸不全は16例で76%であった. 結語. 1) 喀痰の日内変動パターンは5つに分類された. i) 早朝型, ii) 午後型, iii) 持続型, iv) 二相型, v) 夜間型, 2) 気管支肺分泌の喀出パターンは, 疾患特有のパターンはなく, 患者個有のパターンが認められた. 3) 気管支肺分泌喀出はその量の増減によるパターンの変動はほとんど認められず, 略一定のパターンをとっていた. 4) ステロイドホルモンによる治療は50%の症例に分泌喀出量に減少という良好な結果をもたらすことができたが, その日内変動パターンには影響を与えなかった.