齊藤 一幸, 保坂 寿美江, 岡部 真也, 吉村 博幸, 伊藤 公一
電子情報通信学会論文誌 J84-B(12) 2351-2357 2001年12月 査読有り
マイクロ波凝固療法(MCT:Microwave Coagulation Therapy)は, 肝細胞がんなどの比較的小さながんの治療に用いられる手法である.本治療法は, 細いアンテナを患部に刺入して, マイクロ波を照射することにより, 腫瘍を高温に加熱し, 凝固壊死させる治療法である.現在用いられているMCT用アンテナにおいては, 凝固領域がアンテナ刺入方向に長くなってしまい, 局所加熱が難しいといった問題があり, アンテナ先端部付近のみを球状に加熱することが求められている.そこでこれを実現するため, 同軸ダイポールアンテナを導入し, 局所過熱を実現した.本論文では, まずFDTD法による数値解析及びSAR分布の実測により, 同軸ダイポールアンテナの有用性を示した.更に, アンテナ上の電流分布を算出することにより, 本アンテナのSARの局在化の理由について考察を試みた.