神津 由直, 椎葉 正史, 永塚 啓太郎, 宮本 勲, 笠間 洋樹, 伊豫田 学, 中嶋 大, 笠松 厚志, 坂本 洋右, 鵜澤 一弘, 滝口 裕一, 丹沢 秀樹
千葉医学雑誌 96(6) 125-132 2020年12月 査読有り
頭頸部癌に対して分子標的薬であるセツキシマブ(Cmab)が2012年12月に適用承認がされた。今回,再発転移口扁平上皮癌に対して当科にてCmabとシスプラチン(CDDP)とフルオロウラシル(5-FU)の併用化学療法を施行した4症例を検討した。症例は36歳〜64歳,男性3例,女性1例であった。原発巣は舌3例,下顎歯肉1例であった。再発・転移部位は肺4例,頸部リンパ節3例,舌1例,胸椎1例,外腹膜壁1例,甲状腺1例であった(重複あり)。1例は経過中に心筋梗塞を発症し,Cmab併用化学療法を中止し,評価不能であった。2例においては転移腫瘍がやや縮小したが治療効果判定としてはstable disease(SD)であった。1例における治療効果判定はprogressive disease(PD)であった。副作用は皮膚毒性,口内炎,嘔気,心筋梗塞,肺塞栓症,infusion reaction(IR)などが出現した。心筋梗塞,肺塞栓症,IRなどは生命を危険にさらす重大な副作用であるので,Cmab併用化学療法には全身管理が非常に重要である。(著者抄録)