松尾 宏, 大久保 淳司, 山口 匡, 蜂屋 弘之
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響 108(411) 41-46 2009年1月22日
空中における音響センシングは周辺物体の位置,形状,材質,運動などのさまざまな情報を取得できる方法であると考えられている。しかし,現在その利用法は対象物体までの距離計測程度に限られており,高度な計測システムの開発が望まれている。我々はSN比の高い計測を行うためにコード化信号を用いる手法を検討している。音響画像の分解能を高めるためには,複数の送波器を用いて,送受波器開口を広げることが有効であるが,パルス信号の複数回送波の時間が必要となる。本稿では,複数のM系列信号を同時に送波することにより,一度の送波で複数回の送波を行ったと同等の効果を得る方法について検討を行った。複数のM系列信号を同時に用いるためには,異なる信号間での相互相関値が小さい必要がある。プリファードペアとなるM系列信号を,帯域に制限のある送波器から送波して,周囲環境の画像化を行ったところ,一回の送波のみで,高速に高分解能な画像を生成することができた。