降籏 洋行, 山口 匡, 平井 一樹, 神山 直久, 蜂屋 弘之
電子情報通信学会技術研究報告. US, 超音波 105(135) 27-32 2005年6月17日
現在, 医療現場では超音波診断装置の利点(非観血, 低侵襲, リアルタイム性)を活かした, びまん性肝疾患の定量診断法を実現することが強く望まれている.我々はこれまでに, 肝組織から得られるエコー信号の振幅分布特性に着目し, 統計的な信号処理を用いることで肝臓のRFエコー信号から特異な信号成分を抽出する手法を提案し, 病変組織と思われる情報を抽出してきたが, 抽出情報の物理的意味が明らかではなかった.そこで本研究では, 剖検肝試料を用いてin vitro実験を行い, 肝臓の病変組織とエコー信号からの抽出結果との関係について検証した.スライス方向に高密度でエコー信号を収集し, 同一の試料から複数毎の病理組織標本を作成し, エコー画像と病理組織画像からそれぞれ病変組織情報を抽出し, 両抽出結果から3次元像を構築した.両3次元像を用いて病変組織の抽出率及び構造の2つの観点から比較を行ったところ, 両者ともに高い相関が見られ, 提案手法の有効性を確認できた.