辻村 真由子, 和住 淑子, 池崎 澄江, 飯田 貴映子, 錢 淑君, 杉田 由加里, 野崎 章子, 北池 正, 眞嶋 朋子
千葉大学大学院看護学研究科紀要 (40) 73-79 2018年3月
本報告の目的は、タイ王国コンケーン大学看護学部生受入れプログラムの開発から評価までの過程を振り返り、今後の留学生受入れプログラムの実施への示唆を得ることである。プログラムは、千葉大学大学院看護学研究科国際活動委員会が中心となって開発した。プログラムのテーマは、日本における看護学教育・研究を牽引してきた千葉大学看護学部の特徴を踏まえ、「千葉大学看護学部で看護を学ぶ-伝統と革新-」とし、千葉大学看護学部における教育を体験する等の3つの目標を設定した。各専門領域の協力を得て、講義・演習・現地視察による9の学習内容を含むプログラムを開発・実施した。プログラムの実施に当たり、研究科内の危機管理体制を構築し、学生ボランティア6名の協力を得た。留学生に対して評価アンケートを実施し、プログラムを評価した。評価アンケートの結果から、留学生は、日本の看護を知るとともに、自身がコンケーン大学で学習している看護と比較したり、日本で得た知識を自国での看護にどのように応用できるかを考えたりすることができていた。また、プログラム参加は留学生の今後の学習意欲やキャリア形成にも影響を与えたことが示唆された。学生ボランティアとの交流は、留学生の安心感や刺激につながったと考えられた。課題としては、効果的な学習と学生交流とのバランスを考えた留学時期の検討等が挙げられる。(著者抄録)