藤井 隆将, 佐藤 修平, 大森 達也, 橋本 研也, 梅澤 仁, 鹿田 真一, 勅使河原 明彦, 加納 一彦
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 = The transactions of the Institute of Electronics, Information and Communication Engineers. A 96(6) 351-356 2013年6月1日
本研究では,高圧電性ScAlN薄膜/単結晶ダイヤモンド(SCD)基板構造SHF帯広帯域SAWデバイスについて検討した結果を報告する.以前,ScAlN薄膜/6H-SiC基板構造を用いて,1GHz帯において広帯域かつ高QなSAW共振子が実現できることを報告しているが,3GHz帯では大幅なQの劣化が見られた.ここでは基板材料の選択によるSAW特性の変化を検討することを目的としている.まず,ScAlN/SCD構造におけるSAW伝搬特性を理論解析し,ScAlN/6H-SiC構造と同程度の大きなSAW速度Vと電気機械結合係数K^2が同時に得られることを明らかにする.次に,ScAlN/SCD構造を利用してトランスバーサル型SAWフィルタを作製し,理論どおり大きなVとK^2が同時に得られることを確認する.更に,本構造の場合,3GHz帯においてもSAWの伝搬損が小さいことを示す.最後に,同構造上に1ポートSAW共振子を作製し,3GHz帯においてもQの劣化が少なく,広帯域かつ高Qな高性能SAW共振子が実現できることを明らかにする.