橋本 研也, 小川 正太郎, 野々口 晃典, 大森 達也, 山口 正恆
電子情報通信学会論文誌. C-1, エレクトロニクス 1-光・波動 82(12) 777-783 1999年12月25日
本論文は,負の直流放電電流に正のパルスを周期的に重畳する異常放電防止器を利用した,反応性直流対向ターゲットスパッタ(DC-TFTS)法による高品質酸化亜鉛(ZnO)薄膜の堆積について述べる.この方法の場合,プラズマの収束を劣化させることなくターゲット表面の電荷を中和できるため,TFTS法本来の特長である高品質薄膜の高速堆積が可能となる.本方法で作製された薄膜の結晶学的並びに超音波的特性の関係を詳細に検討し,最適なスパッタ条件を考察した.得られた条件のもとで,X線回折ロッキングカーブにおけるc軸配向性の標準偏差が0.22°,抵抗率が10^<12>Ωcmという極めて良好な膜が得られた.更に,ZnO/ガラス複合構造弾性表面波遅延線を作製してその特性を詳細に評価し,本方法が高周波超音波デバイス用ZnO薄膜作製法として有効であることを示した.