研究者業績

吉本 尚子

ヨシモト ナオコ  (Naoko Yoshimoto)

基本情報

所属
千葉大学 大学院薬学研究院 遺伝子資源応用研究室 講師
学位
修士(薬学)(千葉大学)
博士(薬学)(千葉大学)

researchmap会員ID
5000029947

外部リンク

論文

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  • Jichen Wang, Hideyuki Suzuki, Nanako Nakashima, Mariko Kitajima, Hiromitsu Takayama, Kazuki Saito, Mami Yamazaki, Naoko Yoshimoto
    Plant Biotechnology 39(3) 281-289 2022年9月25日  査読有り最終著者責任著者
    Marasmin [S-(methylthiomethyl)-L-cysteine-4-oxide] is a pharmaceutically valuable sulfur-containing compound produced by the traditional medicinal plant, Tulbaghia violacea. Here, we report the identification of an S- oxygenase, TvMAS1, that produces marasmin from its corresponding sulfide, S-(methylthiomethyl)-L-cysteine. The amino acid sequence of TvMAS1 showed high sequence similarity to known flavin-containing S-oxygenating monooxygenases in plants. Recombinant TvMAS1 catalyzed regiospecific S-oxygenation at S4 of S-(methylthiomethyl)-L-cysteine to yield marasmin, with an apparent Km value of 0.55 mM. TvMAS1 mRNA accumulated with S-(methylthiomethyl)-L-cysteine and marasmin in various organs of T. violacea. Our findings suggest that TvMAS1 catalyzes the S-oxygenation reaction during the last step of marasmin biosynthesis in T. violacea.
  • Naoko Yoshimoto, Takashi Asano, Ayuna Kisanuki, Chihiro Kanno, Machiko Asanuma, Mami Yamazaki, Isao Fujii, Kazuki Saito
    Journal of Natural Medicines 76(4) 803-810 2022年6月13日  査読有り筆頭著者責任著者
    S-Alk(en)ylcysteine sulfoxides (CSOs), such as methiin, alliin, and isoalliin, are health-beneficial natural products biosynthesized in the genus Allium. Here, we report the induction of multiple callus tissue lines from three Allium vegetables, onion (A. cepa), Welsh onion (A. fistulosum), and Chinese chive (A. tuberosum), and their ability to accumulate CSOs. Callus tissues were initiated and maintained in the presence of picloram and 2-isopentenyladenine as auxin and cytokinin, respectively. For all plant species tested, the callus tissues almost exclusively accumulated methiin as CSO, while the intact plants contained a substantial amount of isoalliin together with methiin. These results suggest that the cellular developmental conditions and the regulatory mechanisms required for the biosynthesis of methiin are different from those of alliin and isoalliin. The methiin content in the callus tissues of onion and Welsh onion was much higher compared to that in the intact plants, and its cellular concentration could be estimated as 1.9–21.7 mM. The activity of alliinase that degrades CSOs in the callus tissues was much lower than that of the intact plants for onion and Welsh onion, but at similar levels as in the intact plants for Chinese chive. Our findings that the callus tissues of onion and Welsh onion showed high methiin content and low alliinase activity highlighted their potential as a plant-based system for methiin production.
  • 吉本 尚子
    医学のあゆみ 270(8) 617-620 2019年8月  招待有り筆頭著者責任著者
    一般的に含硫化合物には化学反応性が高いものが多く,天然の含硫化合物の中にも特異な生物活性を示すものが多く存在する.アブラナ科植物が含有するグルコシノレートや,ヒガンバナ科ネギ属植物が含有するアリイン類は,これらの植物の特徴的な香味の原因となる含硫化合物である.近年の研究により,グルコシノレートが癌の予防や改善に,アリイン類が癌や循環器系疾患に加えて加齢による認知機能低下の予防や改善に役立つことが示された.本稿では,グルコシノレートとアリイン類の健康機能発揮のメカニズムと,これら含硫化合物を含む植物の生薬やサプリメントとしての利用状況について概説する.
  • Naoko Yoshimoto, Kazuki Saito
    Journal of Experimental Botany 70(16) 4123-4137 2019年8月  査読有り招待有り筆頭著者責任著者
  • 吉本 尚子
    ファルマシア 55(1) 67 2019年1月  査読有り招待有り筆頭著者責任著者
    ケシが生合成するモルヒナン型アルカロイドのうち,モルヒネはがんや外傷による疼痛の緩和に用いられる天然オピオイドとして,テバインは半合成オピオイドであるオキシコドンやオピオイド受容体拮抗薬であるナロキソン等の製造原料として,極めて重要な化合物である.気象災害や病害によるケシ収穫量減少に伴う医薬品の供給不足を避けるため,遺伝子組換え微生物を用いて,モルヒネやテバインを安定で効率的に生産する技術の開発が期待されている.今回,モルヒネ生合成において非酵素的に進むと考えられていたテバイン合成反応を触媒する酵素が同定され,効率的なテバインの異種生物生産が可能になったので紹介する.

MISC

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  • 浅野 雅代, 鈴木 秀幸, 小寺 幸広, 恒吉 唯充, 斉藤 和季, 吉本 尚子
    日本薬学会年会要旨集 138年会(2) 152-152 2018年3月  
  • 吉本 尚子, 森 直子, 佐野 彩夏, 石井 梨紗子, 浅野 雅代, 鈴木 秀幸, 小寺 幸広, 恒吉 唯充, 斉藤 和季
    日本薬学会年会要旨集 137年会(2) 186-186 2017年3月  
  • 韓 栄春, 高橋 弘喜, 中村 道美, Bunsupa Somnuk, 吉本 尚子, 山本 浩文, 鈴木 秀幸, 柴田 大輔, 山崎 真巳, 斉藤 和季
    日本薬学会年会要旨集 136年会(3) 82-82 2016年3月  
  • 森 直子, 吉本 尚子, 小沼 美沙都, 鈴木 秀幸, 小寺 幸広, 恒吉 唯充, 斉藤 和季
    日本薬学会年会要旨集 136年会(2) 199-199 2016年3月  
  • 韓 栄春, 高橋 弘喜, 中村 道美, 吉本 尚子, 鈴木 秀幸, 柴田 大輔, 山崎 真巳, 斉藤 和季
    日本生薬学会年会講演要旨集 62回 77-77 2015年8月  
  • 吉本 尚子, 杉野 由佳, 小寺 幸広, 恒吉 唯充, 斉藤 和季
    日本生薬学会年会講演要旨集 62回 76-76 2015年8月  
  • 韓 栄春, 高橋 弘喜, 中村 道美, 吉本 尚子, 鈴木 秀幸, 柴田 大輔, 山崎 真巳, 斉藤 和季
    日本薬学会年会要旨集 134年会(3) 77-77 2014年3月  
  • 吉本 尚子, 矢部 綾美, 小沼 美沙都, 杉野 由佳, 中林 亮, 上山 正恵, 鎌田 庸宏, 今井 真介, 角 愼一郎, 恒吉 唯充, 斉藤 和季
    日本薬学会年会要旨集 134年会(2) 79-79 2014年3月  
  • 矢部 綾美, 吉本 尚子, 杉野 由佳, 村上 聡一郎, Niti Sai-Ngam, 角 愼一郎, 恒吉 唯充, 斉藤 和季
    日本生薬学会年会講演要旨集 60回 97-97 2013年8月  
  • 小沼 美沙都, 吉本 尚子, 水野 新也, 上山 正恵, 鎌田 庸宏, 今井 真介, 角 愼一郎, 恒吉 唯充, 斉藤 和季
    日本生薬学会年会講演要旨集 60回 96-96 2013年8月  
  • 吉本 尚子, 水野 新也, 小沼 美沙都, 上山 正恵, 鎌田 庸宏, 今井 真介, 角 愼一郎, 恒吉 唯充, 斉藤 和季
    日本薬学会年会要旨集 133年会(2) 118-118 2013年3月  
  • 水野 新也, 吉本 尚子, 斉藤 和季
    日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集 2011 766-766 2011年  
    ニンニクが有する抗菌活性や発癌抑制作用は、含硫二次代謝物アリインの開裂産物から生成される様々な有機硫黄化合物に由来する。アリイン生合成の最終反応は、システイン誘導体である<I>S</I>-アリルシステイン(SAC)の<I>S</I>-酸化である。最近、シロイヌナズナにおけるグルコシノレートの<I>S</I>-酸化反応が、フラビン含有モノオキシゲナーゼ(FMO)によって行われることが報告された。我々は、SACの<I>S</I>-酸化反応がFMOによって触媒されると仮定し、ニンニクからのFMO遺伝子の単離を行った。ニンニク鱗片から得たタンパク質粗抽出液にSACを添加したところ、顕著なSAC分解活性が確認された。そこで、ニンニク鱗片からRNAを抽出し、タマネギのFMO様遺伝子のESTクローンの配列をもとに設計したプライマーを用いてRT-PCRとRACEを行い、FMOをコードすると考えられる遺伝子<I>AsFMO1</I>の全長配列を得た。<I>AsFMO1</I>は、FMO活性に不可欠なFAD結合モチーフおよびNADP結合モチーフを含む457 aaのタンパク質をコードすると考えられた。<I>As</I>FMO1のアミノ酸配列をグルコシノレート合成に関わるシロイヌナズナのFMO群のアミノ酸配列と比較したところ、51-55%の相同性があった。現在、大腸菌発現系を用いて、<I>As</I>FMO1タンパク質のSAC酸化活性の評価を行っている。
  • 吉本 尚子, 関口 愛, 高橋 秀樹, 斉藤 和季
    日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集 2011 852-852 2011年  
    植物の硫黄同化系の第一反応は、ATPスルフリラーゼによる硫酸イオンのアデノシン5'-ホスホ硫酸への変換である。シロイヌナズナゲノムに存在する4つのATPスルフリラーゼ遺伝子(<I>ATPS1</I>、<I>ATPS2</I>、<I>ATPS3</I>、<I>ATPS4</I>)は全て葉緑体移行配列を含むが、細胞分画実験の結果からシロイヌナズナは葉緑体と細胞質の両方にATPスルフリラーゼ活性を持つことが報告されている。本研究では細胞質型ATPスルフリラーゼ遺伝子の同定を目的とし、ATPS-GFP融合蛋白質をシロイヌナズナに発現させた。その結果、ATPS1、ATPS3、ATPS4はプラスチドに局在するが、ATPS2は細胞質とプラスチドの両方に局在することが示された。<I>ATPS2</I>のコード配列は、5'側の葉緑体移行配列と3'側のATPスルフリラーゼ酵素活性配列で構成される。RLM-RACE法による転写開始点解析の結果、<I>ATPS2</I>遺伝子からは完全長の葉緑体移行配列を含む長いmRNAと、葉緑体移行配列を一部欠損する短いmRNAが産生されることが示された。<I>ATPS2</I>遺伝子の葉緑体移行配列切断部位の直前には、インフレームのATGコドンが存在する。長いmRNAからは葉緑体移行配列前のATGコドンからの翻訳により葉緑体局在性の、短いmRNAからは移行配列切断部位直前のATGコドンからの翻訳により細胞質局在性のATPS2蛋白質が作られると考えられる。
  • 吉本 尚子, 東 泰弘, 水野 新也, 村上 聡一郎, 渡辺 むつみ, 高橋 秀樹, 野路 征昭, 斉藤 和季
    日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集 2010 604-604 2010年  
    植物は無機硫黄である硫酸イオンを硫黄源として用いて多様な有機硫黄化合物を合成する硫黄同化系を有する。硫黄同化系の第一反応は、ATPスルフリラーゼによる硫酸イオンのアデノシン5'-ホスホ硫酸への変換である。シロイヌナズナのゲノムにはATPスルフリラーゼをコードする遺伝子が4つ存在する(<I>ATPS1</I>、<I>ATPS2</I>、<I>ATPS3</I>、<I>ATPS4</I>)。野生型シロイヌナズナに各ATPS遺伝子とGFPコード領域をつないだ融合遺伝子を導入したところ、ATPS1、ATPS3およびATPS4はプラスチドに特異的に局在するが、ATPS2は細胞質とプラスチドの両方に局在することが示された。また、各<I>ATPS</I>の遺伝子破壊株の粗抽出液についてATPスルフリラーゼ活性を測定したところ、<I>atps1</I>変異体のATPスルフリラーゼ活性が野生型植物と比較して最も顕著に低下していた。一方、各遺伝子破壊株の細胞質画分におけるATPスルフリラーゼ活性を測定したところ、<I>atps2</I>変異体でのみ顕著に活性が低下した。以上の結果から、シロイヌナズナにおいて硫酸イオンのAPSへの活性化反応はプラスチド局在型のATPS1が主要な役割を担うこと、ATPS2はプラスチドだけでなく細胞質にも局在することで細胞質におけるAPSの供給を担うことが示唆された。
  • 吉本 尚子, 東 泰弘, 勝沼 咲子, 水野 新也, 高橋 秀樹, 野路 征昭, 斉藤 和季
    日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集 2009 793-793 2009年  
    高等植物は土壌液中の硫酸イオンを細胞内に取り込み、複数の酵素反応を経て多様な有機硫黄化合物を合成する。硫黄同化系の第一反応は、ATPスルフリラーゼが仲介する硫酸イオンのアデノシン5'-ホスホ硫酸(APS)への変換である。APSは、システイン合成経路と、硫酸化代謝物の合成経路に分配される。シロイヌナズナのゲノムには4つのATPスルフリラーゼ遺伝子(<I>ATPS1</I>、<I>ATPS2</I>、<I>ATPS3</I>、<I>ATPS4</I>)が存在する。各ATPS遺伝子の発現が抑制された変異体シロイヌナズナを取得し地上部におけるATPスルフリラーゼ活性を測定した結果、<I>atps1</I>変異体、<I>atps2</I>変異体および<I>atps3</I>変異体の地上部では野生型植物と比較して有意に活性が低下していることが示された。また、各<I>ATPS</I>遺伝子のプロモーター領域の下流に<I>ATPS</I>コード領域と<I>GFP</I>コード領域をつないだ融合遺伝子を導入した形質転換シロイヌナズナを作出したところ、ATPS1、ATPS3およびATPS4はプラスチドに特異的に局在するが、ATPS2は細胞質とプラスチドの両方に局在することが示唆された。さらに、各ATPSはそれぞれ細胞特異性が異なることから、生体内において異なる役割を持っていると考えている。
  • 吉本 尚子, 中里 好美, 嶋 聡子, 高橋 秀樹, 野路 征昭, 斉藤 和季
    日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集 2008 770-770 2008年  
    高等植物は土壌液中の硫酸イオンを細胞内に取り込み、活性硫酸であるアデノシン5'-ホスホ硫酸(APS)へと変換する。APSは、システイン合成経路と、APSキナーゼを介した3'-ホスホアデノシン5'-ホスホ硫酸(PAPS)の合成経路に分配される。PAPSは生体内で行われる様々な硫酸化反応に必要な硫酸イオン供与体として機能する。シロイヌナズナのゲノムには4つのAPSキナーゼ遺伝子(<I>AKN1</I>、<I>AKN2</I>、<I>AKN3</I>、<I>AKN4</I>)が存在する。大腸菌発現系を用いてこれらがコードするAKNタンパク質を発現させ、アフィニティーカラムを用いて精製した。全てのAKNアイソザイムはAPSキナーゼ活性を示した。RT-PCR解析の結果、4種の<I>AKN</I>遺伝子のうち<I>AKN2</I>だけが硫黄欠乏に応答してmRNA量が顕著に減少することが示された。各<I>AKN</I>遺伝子のプロモーター領域の下流に<I>AKN</I>コード領域と<I>GFP</I>コード領域をつないだ融合遺伝子を導入した形質転換シロイヌナズナを作出したところ、AKN1、2、4はプラスチドに、AKN3は細胞質に局在することが示唆された。さらに、各AKNアイソザイムはそれぞれ細胞特異的発現性が異なることが示された。シロイヌナズナにおけるPAPS合成は、硫黄環境変化に対する応答性や局在性の異なる4種のAPSキナーゼアイソザイムによって適切に調節されていると予想される。
  • 吉本 尚子, 井上 恵理, 渡部(高橋) 晶子, 斉藤 和季, 高橋 秀樹
    日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集 2007 291-291 2007年  
    SULTR1;1とSULTR1;2は硫黄欠乏条件においてシロイヌナズナの根の表皮と皮層で発現する高親和型硫酸イオントランスポーターであり、外界からの硫酸イオン吸収を担う。すでに私達はSULTR1;1とSULTR1;2の発現の硫黄欠乏応答性がプロモーターによる制御を受けることを報告した。本研究ではカリフラワーモザイクウイルス35S RNAプロモーターを用いてSULTR1;1およびSULTR1;2を<I>sultr1;1 sultr1;2</I>二重変異体において高発現させた形質転換植物を作出し、SULTR1;1とSULTR1;2の転写後制御について解析した。二重変異体は野生型と比較し硫酸イオン吸収活性が顕著に低いが、SULTR1;1またはSULTR1;2の高発現により硫酸イオン吸収機能が回復した。形質転換植物において、<I>SULTR1;2</I> mRNAは葉および根の両方で発現したが、SULTR1;2タンパクは硫黄欠乏条件で生育した植物の根で特異的に蓄積した。一方、<I>SULTR1;1</I>のmRNA発現は根に限られ、SULTR1;1タンパク量は硫黄欠乏により増加した。また、形質転換植物の硫酸イオン吸収活性は硫黄欠乏処理により顕著に増加した。SULTR1;1およびSULTR1;2の硫黄欠乏応答および発現局在性は、転写、転写後の両方の段階によって制御されていることが示唆された。
  • 吉本 尚子, 渡部(高橋) 晶子, 片岡 達彦, 中村 有美子, 斉藤 和季, 高橋 秀樹
    日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集 2006 704-704 2006年  
    SULTR1;1とSULTR1;2は硫黄欠乏条件においてシロイヌナズナの根の表皮および皮層で共発現する高親和型硫酸イオントランスポーターである。15 μMの硫酸イオンを硫黄源とする低硫酸イオン条件では、<I>sultr1;1 sultr1;2</I>二重変異体は硫酸イオンを吸収できず、生育が激しく阻害された。二重変異体の生育が1.5 mMの硫酸イオン条件で改善することから、SULTR1;1、SULTR1;2以外に硫黄十分条件における硫酸イオン吸収に寄与する低親和型トランスポーターが存在することが示唆された。そこでシロイヌナズナの12種の硫酸イオントランスポーター遺伝子全てについてレポーター遺伝子を用いた発現解析を行い、根の内皮及び篩部で発現するSULTR3;4を同定した。SULTR3;4を発現させた酵母の硫酸イオン吸収速度は、細胞外の硫酸イオン濃度に比例して少なくとも1 mMまで直線的に増加した。また、<I>sultr1;1 sultr1;2</I>二重変異体の根では、<I>SULTR3;4</I>のmRNA蓄積量が顕著に増加した。以上の結果から、SULTR3;4は低親和型の硫酸イオン吸収に関与し、SULTR1;1、SULTR1;2による高親和型の硫酸イオン吸収を補う役割を果たすことが予想された。
  • 吉本 尚子, 渡部(高橋) 晶子, 斉藤 和季, 山谷 知行, 高橋 秀樹
    日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集 2005 310-310 2005年  
    <I>SULTR1;1</I>と<I>SULTR1;2</I>は硫黄欠乏条件下においてシロイヌナズナの根の表皮と皮層で共発現する高親和型硫酸イオントランスポーター遺伝子である。<I>sultr1;1 sultr1;2</I>二重変異体は低硫酸イオン条件において硫酸イオンを吸収できず、生育が激しく阻害された。低硫酸イオン条件における野生型植物の硫酸イオン吸収活性は、<I>sultr1;1</I>変異体と<I>sultr1;2</I>変異体の活性の和よりも顕著に高く、SULTR1;1とSULTR1;2が相乗的に機能することが予想された。酵母発現系においても、SULTR1;1とSULTR1;2を共発現した場合、硫黄欠乏条件での硫酸イオン輸送能が相乗的に上昇した。一方、有機硫黄源の供給によりこの相乗効果は抑制された。SULTR1;1とSULTR1;2が複合体を形成することを免疫沈降法により明らかにした。SULTR1;1-SULTR1;2複合体は硫黄条件にかかわらず安定に存在していた。SULTR1;1-SULTR1;2複合体は硫黄条件に応答する輸送活性制御ユニットとして機能すると考えられる。
  • 吉本 尚子, 斉藤 和季, 山谷 知行, 高橋 秀樹
    日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集 2004 80-80 2004年  
    <I>SULTR1;1</I>と<I>SULTR1;2</I>はシロイヌナズナの根の表皮と皮層で発現する高親和型硫酸イオントランスポーター遺伝子である。<I>SULTR1;2</I>は<I>SULTR1;1</I>よりmRNA発現量が高いが、両遺伝子とも硫黄欠乏に応答しmRNA発現が誘導される。<I>SULTR1;1</I>と<I>SULTR1;2</I>のT-DNA挿入二重変異体は、低濃度の硫酸イオンを吸収できず生育が顕著に阻害された。<I>SULTR1;1</I> T-DNA挿入変異体の硫酸イオン吸収活性は、高硫酸条件では野生型植物と同程度だが、低硫酸条件では野生型植物の約60%であった。<I>SULTR1;2</I> T-DNA挿入変異体では、高硫酸・低硫酸条件の両方で硫酸イオン吸収量が野生型植物の約25%に減少した。よって、高硫酸条件では主にSULTR1;2が硫酸イオン吸収を担うと考えられる。また、低硫酸条件で<I>SULTR1;1</I> T-DNA挿入変異体と<I>SULTR1;2</I> T-DNA挿入変異体の硫酸イオン吸収活性の和が野生型の活性より低いことから、硫黄欠乏時にはSULTR1;1とSULTR1;2が相乗的に機能し、根における硫酸イオン吸収を効率的に仲介すると予想される。
  • 吉本 尚子, 井上 恵理, 斉藤 和季, 山谷 知行, 高橋 秀樹
    日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集 2003 594-594 2003年  
    シロイヌナズナのゲノム上には硫酸イオントランスポーターをコードする遺伝子が14種存在する。これらのうち、<I>Sultr1;3</I>は高親和型硫酸イオントランスポーターのグループに属し、酵母の硫酸イオントランスポーター遺伝子欠損変異株の硫酸イオン吸収機能を相補する。<I>Sultr1;3</I>プロモーターによりSultr1;3とクラゲ緑色蛍光タンパク質の融合タンパク質を発現させたシロイヌナズナの解析より、<I>Sultr1;3</I>は子葉、胚軸及び根の篩部で発現することが示された。硫黄欠乏条件で生育した植物では<I>Sultr1;3</I> mRNAの蓄積量が増加した。<I>Sultr1;3</I>のT-DNA挿入変異体に<SUP>35</SUP>Sラベルした硫酸イオンを与え、硫酸イオンの器官間輸送効率を測定した。変異体における子葉から他器官への硫酸イオンの輸送効率は、野生型植物の約30 %であった。従って、Sultr1;3は篩管への硫酸イオンの吸収を仲介し、硫酸イオンの器官間輸送を調節していると考えられる。
  • YOSHIMOTO Naoko, TAKAHASHI Hideki, SMITH Frank W., SAITO Kazuki
    Plant and cell physiology 42 s218 2001年  
  • TAKAHASHI Hideki, YOSHIMOTO Naoko, YAMAYA Tomoyuki, SAITO Kazuki
    Plant and cell physiology 42 s217 2001年  

書籍等出版物

 7

講演・口頭発表等

 31

担当経験のある科目(授業)

 13

共同研究・競争的資金等の研究課題

 14