小林康人, 高山昇二郎, 宮崎良文, 仙頭正四郎, 高野健人
日本生気象学会雑誌 25(1) 19-25 1988年4月 査読有り
寒冷曝露 (4℃) によるチトクロームP-450の肝臓組織内分布の変化について, 抗ラットPB-P-450家兎血清を用いて免疫組織学的に検討した.<br />
PB-P-450を多く含む肝細胞は, 24℃飼育ラットでは肝小葉内中心静脈の周囲に局在していたが, 寒冷曝露4週間ラットでは肝小葉全体に分布していた.この曝露4週群におけるPB-P-450陽性細胞において, その反応は強陽性であり, 細胞質内のPB-P-450陽性顆粒も, 対照群に比べ密に認められた.寒冷曝露3週間ラットではPB-P-450分布は中間的な変化を示し, 寒冷曝露1, 2週間ラットでは, 24℃飼育ラットと比べ免疫組織学的に有意な変化は認められなかった.<br />
寒冷曝露4週間ラットでは生化学的方法にて測定されるアミノピリン代謝速度の上昇を認め, この結果はPB-P-450陽性の肝細胞数の増加, 細胞内のPB-P-450陽性顆粒の密度の増加と対応しているものと考えられた.