菅原 理二, 稲葉 昭彦, 藤田 力, 坂本 昌巳, 三野 孝, 生方 義人, 阿部 太一
日本油化学会誌 48(11) 1257-1262,1320 1999年
3, 4-不飽和酸と飽和あるいは不飽和グリニヤール試薬との反応による長鎖のケトン合成について検討した。例えば, (E) -3-ヘキセン酸エチル (1b) とn-アミルプロミド (2a) とのグリニヤール反応により, 3-ドデセン-6-オン (3b) と6-n-アミル-3-ドデセン-6-オール (5b) が得られた。トリエチルアミン存在下, 253Kで反応を行ったところ, ケトンの選択性向上が見られた。他の3, 4-不飽和酸エステル (1b-d) または不飽和酸 (1a', b'c') とグリニヤール試薬 (2a-c) との反応でも, 同じ条件下でケトン体 (3b, c, d, f) が高収率で得られた。<BR>これらの反応で副生したジアルキルモノホモアリルアルコール (5b, f-i) は熱分解によって対称的なケトン (6b, f-i) に変換できた。一方, トリホモアリルアルコール (5q, r, t) を用いたときは, ジアリルケトン (3q, r, t) が得られた。これらのケトンは酸触媒と作用させると容易に共役ケトン (7q, t) へ異性化した。以上の反応を応用して, 共役ケトンにグリニヤール試薬を1, 4-付加させることにより, ar-ツルメロンを始めとする種々の不飽和ケトンを選択的に合成した。