立田 光廣, 尾松 孝茂, 長谷川 朗
電子情報通信学会論文誌. C-1, エレクトロニクス 1-光・波動 82(6) pp.342-348 1999年6月
複数の音響導波モードが存在する光ファイバにおいて, 音響導波モードごとのブリルアン散乱現象の違いについて理論的に調べた. その結果, 以下のことが明らかとなった. (1)ブリルアン周波数シフトのひずみ感度は, 無ひずみ状態のファイバにおけるブリルアン周波数シフト量に比例し, モード依存性はごくわずかである. (2)光ファイバのコア径変動はブリルアン周波数シフト変動を伴い, その変動量は一般に高次モードほど大きい. したがって, 構造揺らぎの影響を受けないでひずみの分布を高精度に測定するためには, 低次モードに着目した測定を行うのが効果的である. また, 四つの音響導波モードが存在するファイバについて, 音響導波モードごとにブリルアン周波数シフトのファイバ長手方向分布とブリルアン散乱利得を調べた. その結果, (3)一般に高次音響導波モードほど散乱利得ピークが減少すること, (4)ひずみ感度のモード依存性は小さいことなどが実験的に確認された.