大湊隆雄, 金子隆之, 小山崇夫, 渡邉篤志, 安田敦, 武尾実, 青木陽介, 柳澤孝寿, 本多嘉明, 梶原康司, 神田径, 為栗健, 風早竜之介, 篠原宏志
Conductivity Anomaly研究会論文集 2018 43-58 2018年3月31日
無人車両を用いたアクティブ火山の観測は,様々な観点から非常に重要である。科学的観点からは,彼/彼女の生命を危険にさらすことなく,活発なベントの近傍において観察を行うことが重要である。火山災害軽減の観点から,既存のモニタリングステーションが火山の強い活動によって損傷を受けるとき,損傷センサーのための再設置と回復技術は,活発な火山のまわりの観測ネットワークを維持するために不可欠である。無人車両を用いた火山監視センサの設置は,人間の生命のリスクを費やすことなく,損傷したステーションを回復する最も有望な方法である。2005年に,リスクフリー火山観測ツールを開発するプロジェクトを開始した。このプロジェクトでは,ヤマハ発動機社製の無人自律ヘリコプタRMAX-G1を採用した。セシウム磁力計によるこのヘリコプタを用いた航空磁気探査システムの開発に,最初の数年間を費やした。このシステムは徐々に改良され,伊豆大島,桜島,霧島島,口永良部島,その他で用いられた。活火山での空中磁気探査は,これらのターゲット火山の磁化構造を高い空間分解能で明らかにした。また,地震やGPS観測モジュールのような直接接地接触を必要とする観測モジュールの開発を開始した。著者らは,ヘリコプタの下に取り付けたウインチを開発し始め,活火山火口近くのターゲット領域にセンサを設置するのに用いた。観測モジュールは軽量,小型,および太陽電池式でなければならない。著者らは,2009年以降桜島山頂域で地震観測をまた,2011年以降GPS観測を維持してきた。2014年と2015年に噴火した南九州の口永良部島では,これまでに開発されたUAVベースの観測技術を採用した。山頂エリアで損傷した地震ネットワークを回復した。また,航空磁気調査,可視および赤外線画像,および火山ガスサンプリングを含む多重パラメータ観測も行った。また,小笠原西方130knの父島に新たに形成された西島火山島の観測のために観測システムを適用した。(翻訳著者抄録)