劉 会傑, 本多 嘉明, 村井 俊治, 小井土 今朝己
写真測量とリモートセンシング 28(4) 4-12 1989年8月30日 査読有り
1987年4月に中国とソ連の国境となっている黒龍江 (アムール河) をはさんで, 大規模な山林火災が起きた。中国の人民日報によると中国側だけで1987年5月から約一ヵ月間燃えつづけ, 東西幅約220km, 南北約90kmの範囲が燃えた。面積で言えば関東平野より広大な面積が燃えたことになる。<BR>火災直後にはLANDSATTMが大興安嶺の一部を把え, 中国科学院遙感衛星地面站は25万分の1縮尺の画像図「大興安嶺林火地区衛星影像平面図」を出版した。<BR>東京大学生産技術研究所のNOAAの受信局は, 山火事が鎮火した1987年7月6日に中国側被災地を比較的少ない雲量の画像として取得した。また, ほぼ一年後の1988年9月25日のNOAAの画像も山火事地域を把えている。<BR>山火事の生じた大興安嶺地区は中国において唯一の原生林地域であり, その森林資源の保護はきわめて重要な意味を有する。<BR>このような背景から, 本論文は, NOAA画像のグローバルな監視能力に着目し, 大興安嶺地区を調査区域として, 山火事の被害状況, 一年後の植生回復状況等を定量的に把握することを目的とする。