古屋 繁, 壽美田 與一, 渡辺 誠, 武者 祐司, 井上 教子
デザイン学研究 41(6) 37-46 1995年
今日,デパートの利用客にわかりやすい商品配置が望まれている。本研究では,利用客の商品間の概念の関連性に着目し,これを心理的距離関係に置き換えて商品配置を行えば,わかりやすいものになると考えた。そこで,これらの関係を類似性の判定によりMDAを用いて空間上に布置した。この結果から,5つのグループと1つの項目の商品カテゴリーを得た。この商品カテゴリーとその空間上の位置関係からゾーニング案を作成し,これを「わかりやすい商品配置」という観点からAHPにより評価し,最も妥当性の高いゾーニング案を選定した。この結果,デパートに代表される複数フロアで構成される大型店舗では,利用客の心理的距離から得られた商品カテゴリーにもとづいてバーチカルゾーニングを行い,さらにその位置関係および構成軸を利用したフロアゾーニングを行うことによって,利用客の位置関係の認識を高め,売場のわかりやすさに貢献できることがわかった。