Terakawa Takashige, Furuya Katsumi, Ito Koichi, Kasai Haruo
Journal of Japanese Hyperthermic Oncology 8(2) 107-114 1992年
直径0.86mmの細い同軸ケーブルで作られた同軸スロットアンテナを用いて, 組織内加温用マイクロ波フェーズドアレー・ハイパーサーミアの可能性について検討した結果を述べる.同軸スロットアンテナとは, 同軸ケーブルの外導体にリング状スロット放射器を複数個備えたアンテナである.本論文においては, このような侵襲形フェーズドアレー用アンテナを用いた実験的評価を行い, 一本のアンテナについてのSAR分布, 加温分布および2本のアンテナを用いたフェーズド・アレー特性を調べ, 検討を加えている.実験はSAR分布については液体ファントム内での測定を, 加温分布についてはアンテナを寒天ファントムに突き刺してサーモグラフによる温度分布測定を行っている.結果は, この同軸スロットアンテナを用いた侵襲形フェーズドアレー技術が, アンテナの位相と振幅を制御することで, 周辺正常組織を過加温することなく大容量癌組織の加温を可能とする特性を備えていることを示唆した.