津久井 雅志
日本火山学会講演予稿集 2014 36-36 2014年11月2日
安政三年八月二十六日(1856年9月24日)に北海道駒ヶ岳で大規模な噴火が起こった.軽石・火山灰が駒ヶ岳東麓〜道東に降下するとともに南麓から東麓に火砕流が流下した.降下火砕物により2名,火砕流により南東7kmにある留ノ湯(とめのゆ)の湯治客ら20数名が死亡・行方不明となった(噴出物はKo-c_1,たとえば山田,1958,地団研専報; 勝井・他, 1989,地質調査所火山地質図).爆発的な噴火は6時間以内に終了したが,小規模な噴煙活動は少なくとも1ヶ月続き,溶岩円頂丘の形成があったらしい(田中館, 1918,地質学雑誌, 25).また山頂の楕円形火口内に安政火口を形成した(加藤. 1909,震災予防調査会報告62).当時の記録は幕府箱館奉行所関連史料,地元の救援記録,厚岸国泰寺日鑑,民間の史料,道内調査隊記録などに詳細に残されている.