中村 伸枝, 金丸 友, 仲井 あや, 谷 洋江, 井出 薫, 出野 慶子, 高橋 弥生, 内海 加奈子
日本糖尿病教育・看護学会誌 21(1) 11-18 2017年3月 査読有り筆頭著者
本研究の目的は,CSIIを行う小児・青年の療養生活と課題についてCSIIを使用している群とCSIIを中止した群との比較により明らかにし,CSIIを行う小児・青年と家族へのよりよい療養生活に向けた看護支援の示唆を得ることである.外来通院中のCSII群35名(年少児の親14名,年長者21名),CSII中止群9名(年少児の親3名,年長者6名),計44名を対象に,文献検討に基づく自記式質問紙を用いて,ボーラス忘れの頻度と理由,CSIIにしてよかったこと・困っていること等について回答を求め,記述統計,カイ二乗検定,および質的帰納的分析を行った.その結果,ボーラスを2回/月以上忘れる者はCSII群17名(48.6%),CSII中止群4名(44.4%)であり,インスリン注入が容易であるがゆえにうっかり忘れることが多かった.CSIIにしてよかったことは,CSII群は「学校での生活がしやすくなった」が25名(71.4%)と,有意に多かった(カイ二乗値4.490,p=0.034).CSIIで困っていることは,両群とも「注入部位が赤くなったり,硬くなったり,かぶれる」が半数以上にみられ,CSII中止群では「針の痛みが強い」(カイ二乗値5.382,p=0.023),「注入セットの挿入が難しい」(カイ二乗値8.568,p=0.010)が有意に多かった.両群共に「英語で書かれた表示が読みにくい」,「ポンプやカテーテルが服を着替えるときにじゃまになる」等が,年長者の半数以上にみられた.学校生活上の課題では,「学校でアラームが鳴るのが気になる」,「水泳など,学校でポンプを外したときの管理が難しい」が多かった.以上より,インスリンポンプの適切な操作やボーラス忘れを防ぐ支援,学校生活でのトラブル予防・対処と学校生活をしやすくする支援,皮膚トラブルの予防と穿刺時の疼痛軽減に向けた研究と支援の必要性が示唆された.(著者抄録)