石光 俊介, 高見 健治, 山本 学, 中川 誠司, 添田 喜治
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響 109(286) 79-84 2009年11月12日
本研究では,自動車エンジン音に対する聴感印象の客観的評価のための基礎検討として,脳磁界計測による自動車加速時のエンジンの音質評価を試みた.まず,加速音に対する心理的好ましさとアルファ活動との関係を調べた.加速音に対する好ましさを一対比較法により測定し,それらの加速音を提示している間の大脳活動を全頭型脳磁計を用いて計測した.アルファ波帯域の脳磁界の自己相関パラメータと心理尺度の比較を行った結果,好ましくない音を提示した場合に比べて,好ましい音を提示した場合に後頭部付近でのアルファ波の自己相関関数の有効継続時間が長くなる傾向が確認された.さらに,加速音に対する聴覚誘発脳磁界反応とSD法による聴感評価との比較を行った.その結果,周波数の時間変化の違いによる聴感印象の差が,聴覚誘発脳磁界のN1m振幅値に反映されている可能性が示唆された.