阪口 剛史, 平野 孝仁, 渡辺 好章, 西村 忠己, 細井 裕司, 今泉 敏, 中川 誠司, 外池 光雄
電子情報通信学会技術研究報告. US, 超音波 101(116) 41-48 2001年6月13日
骨導で呈示された超音波(以下, 骨導超音波と呼ぶ)は, 重度の難聴者にも音感覚を与えるということが知られている. それゆえ, 骨導超音波の新たな補聴システムへの応用が期待されているが, その聞こえのメカニズムにはいまだ不明な点が多く残されている. 本研究では, 骨導超音波が呈示されたときに生体中に形成される音場について数値シミュレーションをおこない, 骨導超音波知覚の末梢における関与について検討した。その結果, 刺激周波数が可聴域のときと超音波領域のときとで, 蛸牛付近に形成される音場に明らかな違いが確認された. また, 生体中に形成される音場と知覚音の聴覚心理学的特徴との関連も見られた. この結果は, 骨導超音波によって実現されると考えられている, 重度の難聴者に対する補聴システムの開発に有効な設計指針を与えるものである.