阪口 剛史, 平野 孝仁, 渡辺 好章, 西村 忠己, 細井 裕司, 今泉 敏, 中川 誠司, 外池 光雄
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 84(12) 1541-1548 2001年12月1日
骨導で呈示された超音波(以下, 骨導超音波と呼ぶ)の聴覚心理学的特徴や知覚中枢部位などについてはこれまでに明らかにされてきたが, 末梢における聴覚系の関与などについては, いまだ不明な点が多く残されている.そこで本論文では, 頭部モデルを用いた実測及び数値シミュレーションを行い, 骨導音呈示時に生体中に形成される音場の計算結果などから, 骨導超音波知覚の末梢における関与について検討した.その結果, 刺激周波数が可聴域のときと超音波領域のときとで蝸牛付近に形成される音場に明らかな違いが見られた.また, 知覚音の聴覚心理学的特徴との関連も見られた.この結果は, 骨導超音波によって実現されると考えられている.重度の難聴者に対する補聴システムの開発に有効な設計指針を与えるものである.