増井 浩, 阪田 史郎, 塩田 茂雄, 平野 由美, 村瀬 勉
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク 2009年5月14日 一般社団法人電子情報通信学会
無線LANのMACは,自律分散制御であるため,特にアップリンクにおける優先制御方法の確立が急務である.無線LANにおける優先制御の方法として標準化されているIEEE 802.11eでは,MACパラメータ値の差異により行う.しかしながら,この方法では,各優先クラスのスループットを連続的に制御することは難しい.また,全ての端末をIEEE 802.11eに対応させなければならず,導入コストも高い.一方,我々がすでに提案したROC(受信機会制御方式)は,IEEE 802.11eに比べてきめ細かな優先制御を行うことができ,なおかつAPのみの変更で優先制御が実現できる.ただし,制御オーバーヘッドにより,総スループットが低下してしまう.本稿ではIEEE 802.11に規定されており,多くのMACチップでサポートされているRTS/CTS機能を利用し,APがCTSのみを優先させたい端末に送信することによってアップリンクトラヒックの優先制御を実現する手法を提案する.提案方式により,APのみの変更で実現できるというROCの利点を受け継ぎながら,かつ総スループットの低下を抑え,連続的なスループット優先制御が実現できる.提案手法の優先制御に関する効果についてシミュレーション評価を行い,その有効性を示した.