中島 崇裕, 安福 和弘, 藤原 大樹, 鈴木 秀海, 長門 芳, 山田 義人, 矢代 智康, 千代 雅子, 伊豫田 明, 吉田 成利, 鈴木 実, 関根 康雄, 渋谷 潔, 藤澤 武彦
気管支学 29(6) 337-341 2007年11月
目的.EBUS-TBNAは、肺癌症例におけるリンパ節転移診断において、その高い診断率と安全性により、急速に普及しつつある検査法である。今回、とくに縦隔鏡との比較を中心に、EBUS-TBNAの与える医療経済効果について検討した。方法.現在、日本で施行されている縦隔鏡検査は、2003年度社会医療診療行為別調査によると、約1,000件である。これらにEBUS-TBNAを施行したとし、EBUS-TBNAにより診断できない症例に対し縦隔鏡検査を施行すると仮定した。縦隔鏡検査およびEBUS-TBNA 1例当たりにかかる費用をそれぞれ算出し、これらの検査にかかる年間総費用を比較した。なお、EBUS-TBNAの診断率は、過去の我々の報告から96.3%とし、合併症に対する治療などは本試算では考慮していない。結果.縦隔鏡検査1例当たりにかかる費用を、検査・生検費用、麻酔費用、入院費用に分類し、検査時間を90分、入院期間を4日間と仮定したところ、縦隔鏡1例当たりの医療費は271,220円と推定された。これに対し、EBUS-TBNA 1例当たりにかかる費用は、医療機器使用料、人件費、医療材料、その他を積算した結果、64,700円となった。縦隔鏡検査に代わりEBUS-TBNAによる診断を行うとすると、総額約1億9,648万円の医療費削減になると推定された。結論.EBUS-TBNAの普及は、日本で施行されている縦隔鏡検査症例を対象としただけでも、年間に2億円近くの医療費削減につながる可能性がある。ただし本邦では、縦隔鏡検査の対象となっている症例は欧米と比較して少なく、正しいstagingに基づく、適切な治療方針の選択が可能であることを考えると、その医療経済効果は計り知れない。(著者抄録)