松沢 優香里, 松浦 佑介, 橘川 薫, 赤坂 朋代, 金塚 彩, 鈴木 崇根
日本手外科学会雑誌 40(2) 137-141 2023年11月
MRIのCT-like bone contrastであるPhilips社のFRACTUREは,骨のみならず腱の描出にも優れる.さらにこれを元にVR画像を作成すると患者そのものの解剖図を得られる.これらの画像が手指腱損傷の診断に有用であるか検証した.対象は当院でMRI検査を行った腱損傷患者12名で,撮影条件はFRACTURE(VR像も作成),T2WI,3D PDWI,STIR等とし,手術に関与しなかった整形外科医3名が,FRACTURE MPR像,FRACTURE VR像,FRACTURE以外のシークエンスの3種類の方法で読影した.1.読影の正確性,2.読影に要した時間,3.読影しやすさに関して検討すると,FRACTUREは他のシークエンスと比較し全ての評価項目で優れていた.また手術症例ではFRACTURE VR像と術野の断裂部は概ね一致した.母指・小指の腱についてはmagic angle effectによるアーチファクトを考慮する必要があるが,撮像肢位を工夫することで回避できる.FRACTUREは手指腱の描出能が高く,手外科領域の臨床において有用と考える.(著者抄録)