研究者業績

矢口 貴志

ヤグチ タカシ  (Takashi Yaguchi)

基本情報

所属
千葉大学 真菌医学研究センター 准教授
学位
博士(工学)(早稲田大学)

J-GLOBAL ID
200901010374246864
researchmap会員ID
5000067659

論文

 263
  • Hidetaka Majima, Yuzaburo Inoue, Yuichiro Otsuka, Takashi Yaguchi, Akira Watanabe, Katsuhiko Kamei
    Medical mycology case reports 42 100609-100609 2023年12月  
    We hereby make the first report of a case of mycosis caused by Purpureocillium lilacinum in CARD9 deficiency. A 40-year-old woman complained of lymph node swellings in the left cervical area. She also had chronic mucocutaneous candidiasis (CMC), and was found to have CARD9 deficiency. Lymphadenitis by P. lilacinum was confirmed. The diagnosis was difficult, as culturing the biopsy specimen at a cautiously selected temperature (25 °C) and genetic analysis were both required. Oral administration of voriconazole improved her lymphadenopathy.
  • 井上 なつき, 伊藤 志昂, 矢口 貴志, 渡邉 哲, 亀井 克彦, 吉川 衛
    日本医真菌学会雑誌 64(Suppl.1) 98-98 2023年10月  
  • 井上 なつき, 伊藤 志昂, 矢口 貴志, 渡邉 哲, 亀井 克彦, 吉川 衛
    日本医真菌学会雑誌 64(Suppl.1) 98-98 2023年10月  
  • Isato Yoshioka, Yugo Mori, Ahmed Hassan Fahal, Emmanuel Edwar Siddig, Satoshi Kaneko, Takashi Yaguchi
    PLoS neglected tropical diseases 17(9) e0011644 2023年9月18日  
    BACKGROUND: Filamentous fungi of the genus Madurella are the primary causative agents of mycetoma, a disease observed in tropical and subtropical regions. Since early diagnostics based on a morphological approach are difficult and have many shortcomings, a molecular diagnostic method suitable for rural settings is required. In this study, we developed the loop-mediated isothermal amplification (LAMP) method to present a foundational technique of the diagnosis of Madurella spp. (M. mycetomatis, M. pseudomycetomatis, M. tropicana, and M. fahalii), the common causative organisms of eumycetoma. PRINCIPAL FINDINGS: We successfully designed a primer pair targeting the rDNAs of three Madurella spp. excluding M. fahalii, and detected up to 100 fg of genomic DNA extracted from isolates of M. mycetomatis and 1 pg of M. pseudomycetomatis and M. tropicana, within one hour. Second, a primer pair specific to M. mycetomatis, the most common causative species, or M. fahalii, a drug-resistant species, was constructed, and the detection limit of both primer pairs was 1 pg. The designed primers accurately distinguished 16 strains of the genus Madurella from various fungal species known to cause mycetomas. CONCLUSION: In summary, we established the first model of a LAMP detection method that rapidly and sensitively detects and identifies Madurella isolates for clinical diagnostics. Moreover, the combined designed primer sets could identify mycetoma-causing strains simultaneously.
  • Sara Higuchi, Hiromitsu Noguchi, Tadahiko Matsumoto, Takashi Yaguchi, Masahide Kubo, Kayo Kashiwada-Nakamura, Masataro Hiruma, Rui Kano, Takahiro Satoh, Satoshi Fukushima
    Mycopathologia 2023年7月26日  

MISC

 93
  • 松澤 哲宏, 矢口 貴志, 堀江 義一, 田中 玲子, Abliz Paride, Hui Yan, 五ノ井 透
    日本医真菌学会総会プログラム・抄録集 52 76-76 2010年  
  • 矢口 貴志, 松澤 哲宏, 今西 由巳, 田中 玲子, 菊池 和代, 堀江 義一
    日本医真菌学会総会プログラム・抄録集 52 76-76 2010年  
  • 今西 由巳, 田中 玲子, 松澤 哲宏, 矢口 貴志
    日本医真菌学会総会プログラム・抄録集 52 76-76 2010年  
  • 矢口 貴志, 堀江 義一, 田中 玲子, 松澤 哲宏, Abliz Pride, Hui Yan
    日本菌学会大会講演要旨集 54 32-32 2010年  
  • 松澤 哲宏, 矢口 貴志, 堀江 義一, 田中 玲子, 五ノ井 透
    日本菌学会大会講演要旨集 54 83-83 2010年  
  • 高園 貴弘, 柳原 克紀, 大野 秀明, 矢口 貴志, 宮崎 義継, 亀井 克彦, 河野 茂, 泉川 公一, 行徳 宏, 池田 直樹, 神田 哲郎, 宮崎 泰可, 関 雅文, 掛屋 弘, 山本 善裕
    日本医真菌学会総会プログラム・抄録集 52 82-82 2010年  
  • 石川和樹, 板橋武史, 細江智夫, 河合賢一, 滝澤香代子, 矢口貴志, 福島和貴, 若菜大悟, 合田幸広
    日本生薬学会年会講演要旨集 56th 161 2009年9月15日  
  • 細江 智夫, 森山 浩義, 若菜 大悟, 板橋 武史, 河合 賢一, 矢口 貴志, 飯塚 徹, 星 恵子, 福山 由貴, 甲田 雄馬, LAU Francis C
    マイコトキシン 59(2) 75-82 2009年7月31日  
    <i>Asperillus novofumigatus</i> IFM 55215 株のメタノールエキスから血小板凝集阻害物質としてジヒドロテレイン(<b>1</b>)およびテレイン(<b>2</b>)を分離・同定した.化合物<b>1</b> および<b>2</b> は濃度5.0 × 10<sup>2</sup> μmol/L の時,レーザー散乱法血小板凝集装置を用いたin vitro 試験の結果,コラーゲンで惹起したヒト血小板凝集を抑制した.化合物<b>1</b> および<b>2</b> のジアセチル化体<b>3</b> および<b>4</b> は,コラーゲンで惹起したヒト血小板凝集をそれぞれ濃度5.0 × 10<sup>3</sup> および5.0 × 10<sup>2</sup> μmol/L で抑制した.また,化合物<b>1</b>-<b>4</b> の中で,コラーゲンおよびadenosine diphosphate (ADP)で惹起したヒト血小板凝集に対して,<b>4</b> が最も強い抑制作用を示した.今回の実験結果で,<b>2</b> はアセチル化により抑制作用が増強することが認められた.
  • 石井清, 一杉正仁, 矢口貴志, 千種雄一, 徳留省悟
    衛生動物 60(2) 149-149 2009年6月15日  
  • 落合恵理, 亀井克彦, 滝埜昌彦, 小西良子, 矢口貴志, 松澤哲宏, 佐藤綾香, 永吉優, 渡辺哲, 豊留孝仁, 渋谷和俊
    日本微生物資源学会誌 25(1) 60 2009年6月1日  
  • 石川和樹, 若菜大悟, 板橋武史, 細江智夫, 滝澤香代子, 矢口貴志, 河合賢一
    日本薬学会年会要旨集 129th(2) 224 2009年3月5日  
  • 若菜大悟, 細江智夫, 板橋武史, 河合賢一, 矢口貴志, 滝澤香代子, 福島和貴
    日本生薬学会年会講演要旨集 55th 82 2008年9月1日  
  • 板橋武史, 若菜大悟, 細江智夫, 矢口貴志, 福島和貴, 河合賢一
    日本薬学会年会要旨集 128th(2) 122 2008年3月5日  
  • 弘 佑介, 松澤 哲宏, 細谷 幸一, 中山 素一, 徳田 一, 矢口 貴志
    日本医真菌学会総会プログラム・抄録集 52 64-64 2008年  
    <I>Talaromyces</I> 属およびその関連菌である <I>Hamigera</I> 属,<I>Byssochlamys</I> 属は,子のう胞子が耐熱性を示すことから食品,飲料などの製造過程における事故原因菌として重要である.<I>Talaromyces</I> 属は, <I>Penicillium</I> 以外にも <I>Geosmithia</I>,<I>Paecilomyces</I> をアナモルフにとする種があり,分子系統的にも多系統と指摘され,分類学的に混乱している.今回, 本属および関連菌種の 28S rDNA D1/D2 領域,β-チューブリン遺伝子の塩基配列を決定し,NJ 法により系統解析を実施した.その結果,2 遺伝子の解析からえられた系統樹はほぼ一致し,<I>Talaromyces</I> 属は 5 群に再分類され,<I>Byssochlamys</I> 属,<I>Hamigera</I> 属とは系統的に明確に区別された. この解析結果を用いて,飲料などの製造工程で問題となる耐熱性カビの検出方法の検討を行った.菌が検出された場合の識別・同定法については,DNA の抽出,増幅条件等の最適化により,新たに開発した耐熱性カビの識別用プライマーを用いて酵母や一般のカビと問題となる耐熱性カビの識別ができ,<I>Talaromyces</I> 属、<I>Byssochlamys</I> 属、<I>Hamigera</I> 属および <I>Neosartorya</I> 属の 4 属を属レベルでの同定が 8 時間以内で可能となった.
  • 矢口 貴志, 弘 佑介, 松澤 哲宏, 田中 玲子, 細谷 幸一, 中山 素一, 徳田 一
    日本医真菌学会総会プログラム・抄録集 52 63-63 2008年  
    <I>Aspergillus</I> section <I>Fumigati</I> に属する菌種において、複数の遺伝子の塩基配列を決定し、関連菌と合わせて系統解析を実施した。その結果、どの遺伝子ともほぼ同様の系統樹を示し、Section <I>Fumigati</I> に属する菌種は I.<I>A. fumigatus</I>、II. <I>A. lentulus</I>、<I>A. fumisynnematus</I>、III.<I>A. fumigatiaffinis</I>、<I>A. novofumigatus</I>、IV.<I>A. udagawae</I>、<I>A. viridinutans</I>、V.他の菌種がそれぞれ属する 5 つのクラスターに分かれた。臨床分離株の多くは I に含まれたが、中には、II、IV に属する菌株があった。各分生子の表面微細構造は、I、V は刺状突起、II、III、<I>A. udagawae</I> は小コブ状の隆起、<I>A. viridinutans</I> は中間的な形状を示した。生育温度は、I が 50℃ でも生育するのに対して、II、III は 45℃ まで、IV、V は 42℃ まで生育し、これは簡便な分類に利用できる。各種抗真菌薬に対する感受性は、<I>A. lentulus</I> をはじめ非典型的な <I>A. fumigatus</I> は amphotericin B に対して、MIC が 1-2 μg/ml となり、高めの値を示した。この解析結果を用いて、臨床上問題となる薬剤感受性の低い菌種検出方法の検討を行った。菌が検出された場合の識別・同定法については、DNA の抽出、増幅条件等の最適化により、新たに開発したプライマーを用いて I、II、IV に属する菌種の識別が 8 時間以内で可能となった。
  • 矢口 貴志, 堀江 義一, 松澤 哲宏, 田中 玲子, Paride Abliz, Hui Yan
    日本医真菌学会総会プログラム・抄録集 52 65-65 2008年  
    <I>Aspergillus</I> section <I>fumigati</I> に属する菌種のうち、<I>A. fumigatus</I> はアスペルギルス症原因菌として最も重要な菌であるが、これまで臨床からの分離株には典型的な <I>A. fumigatus</I> 以外の株も混在していた。近年、分子系統解析によって非典型的な株の多くは <I>A. fumigatus</I> とは別種とされている。現在、非 <I>A. fumigatus</I> およびアナモルフのみを形成するヘテロタリックな <I>Neosartorya</I> は 16 種報告されており、このうち <I>A. arvii</I>、<I>A. fumigatiaffinis</I>、<I>A. fumisynnematus</I>、<I>A. lentulus</I>、<I>A. neoellipticus</I>、<I>A. viridinutans</I>、<I>N. fenneliae</I>、<I>N. udagawae</I> がヒトや動物に対しての病原性を示している。今回は日本、中国、ブラジルなどの土壌から非 <I>A. fumigatus</I> を分離し、系統解析の結果と形態学的知見とを比較研究した。その過程で未報告種を認めたので併せて報告する。方法:土壌および臨床分離株と既知種をβ-チュブリン、ハイドロフォビン、カルモジュリン遺伝子などを用いて系統解析を行い、形態学的知見と比較検討した。結果:系統解析の結果、7 クラスターに分類された。概ね系統解析と形態学的知見は一致したが、系統は一致するが形態が異なる例や系統は異なるが形態が一致する例も認めた。これまで <I>A. fumigatus</I> とされていた臨床株の分類的位置を明らかにした。
  • 松澤 哲宏, 矢口 貴志, 堀江 義一, 田中 玲子, 五ノ井 透
    日本医真菌学会総会プログラム・抄録集 52 67-67 2008年  
    高度医療の進展に伴い真菌症は増加傾向にあり,その中でも特にアスペルギルス症は重要である.アスペルギルス症は <I>A. fumigatus</I> もしくは <I>Aspergillus</I> section <I>Fumigati</I> に属する菌がその原因の大半を占める.Section <I>Fumigati</I> に属する菌の系統分類と生理学的性状の相関に関する報告は既になされており(Yaguchi et al, 2007),最高生育温度による典型的な <I>A. fumigatus</I> と非典型的な <I>A. fumigatus</I> の区別が可能であることが示唆された.しかし,<I>A. fumigatus</I> 関連菌以外の病原性 <I>Aspergillus</I> 属菌の中には,分類に基づいた性状の把握が十分になされていない菌が存在する.<Br> <I>Emericella</I> 属は <I>Aspergillus</I> のテレオモルフの一つであり,アナモルフは <I>Aspergillus</I> section <I>Nidulantes</I> に分類され,36 種 2 変種のうち 5 種で病原性が報告されている.Verweij ら(2008)は臨床分離株の <I>E. nidulans</I> と <I>E. quadrilineata</I> の MIC を比較し,2 菌種間で複数の抗真菌薬に対する感受性に差があることを報告し,同時に遺伝子配列を用いた正確な種同定の重要性を指摘した(2008).<Br> 今回,我々は病原性 Emericella 属菌 5 種の MIC を測定し,菌種間による薬剤感受性の差異を明らかにすると共に,種特異的かつ迅速な同定が必要なことから,PCR などを用いた識別法の開発を試みた.
  • 松澤 哲宏, 矢口 貴志, 堀江 義一, 田中 玲子, 五ノ井 透
    日本菌学会大会講演要旨集 52 76-76 2008年  
    <I>Emericella</I> 属は <I>Aspergillus</I> のテレオモルフの1つであり、アナモルフは <I>Aspergillus</I> section <I>Nidulantes</I> に分類されている。レンズ形、赤紫~青色で赤道面に帯状隆起を持つ子のう胞子を形成し、この子のう胞子の形態が本属の種識別の指標となっている。これまでの研究で我々は <I>Emericella</I> 属の属全体の系統関係を明らかにしてきた。更に分子系統と子のう胞子の形態および最高生育温度やマイコトキシンの生産性など生理・生化学的性状との相関を検討し、多相的な分類を試みた。その結果これら 3 者の間には相関性があることが認められた。<BR> 今回、新たに分離された複数の菌株が、系統的に単一で既存の種と異なるグループを形成した。そこで、SEMによる子のう胞子の形態の観察および最高生育温度を検討し、さらに分子系統的に近縁である種と各種培地上におけるコロニーの大きさを比較した。また、子のう胞子の形態が類似している種との性状の比較およびマイコトキシンの生産性も検討した。その結果、様々な分類指標が既存種と異なる結果を示したため、新種として報告する。<BR> <I>Emericella</I> sp. IFM 55259 - 55265 の子のう胞子の形態学的特徴は、レンズ面が滑面であり <I>E. nidulans</I> に類似しているが、子のう胞子の形は <I>E. nidulans</I> より厚く丸みを帯びた形をしている。また、赤道面帯状隆起の帯の厚みが既存のどの種よりも厚いのが本種の特徴である。系統的には レンズ面に特徴的な隆起を持つ <I>E. rugulosa</I> に最も近いが、子のう胞子の形態は大きく異なる。最高生育温度に関しては、 <I>E. nidulans</I> や <I>E. rugulosa</I> と同じ 48℃を示した。また、これら 3 種の各種培地上におけるコロニーの大きさは PDA 培地で明瞭な差が見られた。
  • 弘 佑介, 松澤 哲宏, 細谷 幸一, 中山 素一, 徳田 一, 矢口 貴志
    日本菌学会大会講演要旨集 52 54-54 2008年  
    <I>Talaromyces </I>属およびその関連菌である <I>Hamigera</I>、<I>Byssochlamys</I> 属は、子嚢胞子が耐熱性を示すことから食品、飲料などの製造過程における事故原因菌として重要である。<I>Talaromyces</I> 属は、Pitt(1979)によれば<I>Talaromyces</I>、<I>Purpureus</I>、<I>Thermophilus</I> の 3 section に分けられ、タイプ種 <I>T. flavus</I> を含む sect. <I>Talaromyces</I> のみ series <I>Flavi</I>、<I>Lutei</I>、<I>Trachyspermi</I> に細分され、sect. <I>Purpureus</I>、<I>Thermophilus</I> はそれぞれ1種のみから構成されている。本属には <I>Penicillium</I> 以外に <I>Geosmithia</I>、<I>Paecilomyces</I> をアナモルフとする数種があり、これらは Stolk、Samson (1972) の sect. <I>Emersonii</I> が相当する。その後、Tayler 及び杉山らにより本属は分子系統的に多系統と指摘された。今回、最近追加された種を含む 42 種および関連菌の 28S rDNA D1/D2 領域、b-チューブリン遺伝子の塩基配列を決定し、NJ 法により系統解析を実施した。その結果、2 遺伝子の解析からえられた系統樹はほぼ一致し、次の 5 群に再分類された。1) ser. <I>Flavi</I> の主要種から構成される菌群、2) ser. <I>Trachyspermi</I>、<I>Lutei</I> の一部から構成される菌群、3) ser. <I>Lutei</I> の一部を除いた種から構成される菌群、4) <I>T. luteus</I>、<I>T. ocotl</I>、<I>T. thermophilus</I> から構成される菌群、5) sect. <I>Emersonii</I> の一部の種から構成される菌群である。一方、<I>T. purpureus</I> は ser. <I>Flavi</I> と、<I>T. leycettanus</I>、<I>T. spectabilis</I>、<I>T. striatus</I> は <I>Hamigera</I>、<I>Byssochlamys</I> 属と系統的に近縁であった。全体として、ser. <I>Flavi</I> と 2) の <I>Trachyspermi</I>、及び 3) の <I>Lutei</I> の一部からなる菌群が単系統的なまとまりを示した。この結果を用いて、<I>Talaromyces</I> 属の各菌群、<I>Hamigera</I>、<I>Byssochlamys</I> 属それぞれの検出法を検討した。
  • 矢口 貴志, 堀江 義一, 松澤 哲宏, 田中 玲子, Abliz Paride, Hui Yan
    日本菌学会大会講演要旨集 52 136-136 2008年  
    <I>Aspergillus</I> section <I>Fumigati</I> に分類される菌は土壌中に極普通に生息し、ヒトのアスペルギルス症原因菌となる他、痙攣性カビ毒の生産菌、加熱加工食品の事故菌として報告され、我々の生活に深く関係する菌である。Section <I>Fumigati</I> に分類される種の出現は <I>A. fumigatus</I> が圧倒的に多く、他種の分離例は稀であり、種間の形態的特徴も少ないため、これら非 <I>A. fumigatus</I> 種の研究はsection <I>Fumigati</I> のテレオモルフである <I>Neosartorya</I> と比べ遅れていた。近年、分子生物学的手法を用いての種間の系統関係の研究が進み新たな種も報告されている。現在までのところ <I>A. brevipes、A. duricaulis、A. fumigatiaffinis、A. fumigatus、A. fumisynnematus、A. lentulus、A. novofumigatus、A. turcosus、A. unilateralis、A. viridinutans</I> などが報告されている。また、<I>Neosartorya</I> のヘテロタリック種である <I>N. fennelliae、N. nishimurae、N. otanii、N. spathulata、N. udagawae</I> なども同様の形態を呈する。これら多くの種の集落は <I>A. fumigatus</I> と異なり、分生子構造形成が少なく、分生子の色が集落の色に反映せず白色及び淡緑灰色を呈する。そのため分離培地上では <I>Aspergillus</I> と認識される事は少なかった。近年、これらの種の分類には分子生物学的データを重要視し、他の <I>Aspergillus</I> の分類で重要視される分生子の形態学的特徴や集落の色は軽視される傾向がみられ、中には標本を見ないでデータのみで種の改廃をおこなっている報告も認められる。今回、我が国をはじめ、中国、ブラジルなどの広い地域の土壌から分離した非 <I>fumigatus</I> に <I>Neosartorya</I> のヘテロタリック種を加え分子生物学的手法と形態学的手法を用い非 <I>fumigatus</I> を評価し、併せてこれまで <I>A. fumigatus</I> とされていた病原真菌研究や痙攣性カビ毒研究に用いられている重要な株の分類学的位置についても考察を加える。
  • 河合 賢一, 細江 智夫, 板橋 武史, 福島 和貴, 矢口 貴志
    千葉大学真菌医学研究センター報告 11 89-89 2007年  
  • 矢口 貴志, 佐野 文子, 田中 玲子, 佐藤 綾香, 松澤 哲宏, 亀井 克彦, 杉浦 義紹, 西村 和子
    日本医真菌学会総会プログラム・抄録集 51 54-54 2007年  
    <I>Pseudallescheria boydii</I> は世界的に広く土壌中に棲息し、BSL-2 にランクされている。そのアナモルフである <I>Scedosporium apiospermum</I> と共に、菌腫、角膜真菌症、肺菌球症などの起因菌種として知られている。近年、侵襲性肺真菌症、関節炎など日和見真菌症の起因菌として重要度が増し、近縁種 <I>S. prolificans</I>、<I>S. aurantiacum</I> と共に薬剤抵抗性からも問題視されている。我々は、千葉大真菌センターに保存されているこれら菌種に関して、形態、生育温度を再検討比較し、ITS 領域による多型解析を行った。さらに、若干の疫学的データを整理し、薬剤感受性試験を実施した。今回検討した菌株中、本邦初の分離となる <I>S. aurantiacum</I> が 1 株認められた。<I>S. apiospermum</I> の最高生育温度は 40-42℃、<I>S. prolificans</I> は 42-45℃、<I>S. aurantiacum</I> は 42℃ であった。系統解析の結果、<I>S. apiospermum</I> は単系統のクラスターにまとまり、さらに 4 サブクラスターに細分され、日本の臨床分離株はその中の 3 つに分布し、<I>S. prolificans</I> と <I>S. aurantiacum</I> はそれぞれ独立したクラスターを形成した。また、<I>S. prolificans</I> は voriconazole はじめ今回試験したすべての薬剤に対して抵抗性を示した。結論として、<I>S. apiospermum</I> の臨床分離株は表現型、遺伝子型共に多様性を示し、<I>S. apiospermum</I> と <I>S. aurantiacum</I> は表現型では識別できなかった。
  • 松澤 哲宏, 矢口 貴志, 堀江 義一, 田中 玲子, 五ノ井 透
    日本医真菌学会総会プログラム・抄録集 51 50-50 2007年  
    <I>Emericella</I> 属は <I>Aspergillus</I> のテレオモルフの1つであり,アナモルフは <I>Aspergillus</I> section <I>Nidulantes</I> に分類されている.ヒトの真菌症原因菌としての報告があり医学的に重要である.また,馬の喉嚢炎の主要な原因菌としての報告もされている.さらに発ガン性マイコトキシンであるアフラトキシンやステリグマトシスチンの生産性も報告されており,食品衛生学上も重要な菌である.<BR>最近,中国の新疆の土壌から新種と思われる種が分離された.本菌種は,子のう胞子の形態が <I>E. nidulans</I> に類似しており,系統的には <I>E. rugulosa</I> に近縁であるという特徴を持つ.従来 <I>E. nidulans</I> として同定されてきた菌の中には,本菌種であったものも存在する可能性がある.また,<I>E. nidulans</I> および <I>E. rugulosa</I> は共に病原性の報告がある.以上のことから,病原性を有する可能性も考慮し,本菌種とその関連菌の生理・生化学的性状の差異を検討した.<BR>その結果,最高生育温度は <I>E. nidulans</I>,<I>E. rugulosa</I> および本菌種ともに 48℃であった.麦芽エキス寒天培地 (MEA培地)上で25℃,14日間培養した結果,<I>E. rugulosa</I> および本菌種のコロニーの直径は,<I>E. nidulans</I> の半分以下であり,生育速度に差が認められた.
  • 矢口 貴志, 松澤 哲宏, 田中 玲子, Abliz Paride, Hui Yan, 堀江 義一
    日本医真菌学会総会プログラム・抄録集 51 53-53 2007年  
    <I>Aspergillus fumigatus</I> やその近縁菌である <I>Neosartorya</I> はヒトのアスペルギルス症をはじめとする真菌症の原因菌として報告されている。これら菌類の主たる生活場所は土壌中で、これまでの調査から湿潤な地域の土壌により高い頻度で分布する事が知られているが、乾燥地帯土壌にも多数分布している。これら菌類の分布を把握する事はヒトの真菌症予防の上で重要である。今回は乾燥地帯の分布調査として中国新疆ウイグル自治区を選び土壌中の分布と分離した菌の系統を研究した。その過程で未報告種を認めたので併せて報告する。方法:新疆ウイグル自治区の 31 地域の土壌からツアペック寒天培地を用いて <I>A. fumigatus</I> と<I>Neosartorya</I> を分離し集落数を計数した。分離菌を既知種と供に β - チュブリン、ハイドロフォビン、カルモジュリン遺伝子などを用いて分子系統解析をおこない比較検討した。結果:新疆各地の砂漠や乾燥地帯の土壌から <I>A. fumigatus</I>、<I>Neosartorya</I> は多数出現した。<I>A. fumigatus</I> は供試土壌 2449 試料中の 37 %、<I>Neosartorya</I> は 7 %の土壌から出現した。<I>Neosartorya</I> は <I>N. fischeri, N. globra, N. pseudofischeri, N. quadricincta, N. spinosa</I> と新種である <I>N. tunodae</I> などであった。また、尉梨県と墨玉県のタクラマカン砂漠の土壌から分離した 2 種の <I>Neosartorya</I> が既知種とは異なる系統を示し形態も異なった。
  • 矢口 貴志, 伊藤 純子, 田中 玲子, 松澤 哲宏, 堀江 義一, 五ノ井 透
    日本医真菌学会総会プログラム・抄録集 51 56-56 2007年  
    千葉大真菌センターに <I>Aspergillus fumigatus</I> として保存されている菌株において、β‐チュブリン、ハイドロフォビン、カルモジュリン遺伝子、ITS 領域の塩基配列を決定し、関連菌と合わせて系統解析を実施した。さらに分子系統と形態学的知見との相関および生理学的性状を検討した。系統解析の結果、4 遺伝子ともほぼ同様の系統樹を示し、Section <I>Fumigati</I> に属する菌種は 5 つのクラスターに分かれた(I.<I>A.fumigatus</I> が属する菌群、II. <I>A. lentulus</I>、<I>A. fumisynnematus</I> が属する菌群、III.<I>A. fumigatiaffinis</I>、<I>A. novofumigatus</I> が属する菌群、IV. <I>A. viridinutans</I> が属する菌群、 V.<I>A. brevipes、A. duricaulis、A. unilateralis</I> が属する菌群)。臨床分離株の多くは I に含まれたが、中には、II、IV に属する菌株があった。IV には <I>Neosartorya udagawae</I> に系統的に近縁なアナモルフ種が確認された。各分生子の表面微細構造は、I、V は刺状突起、II、III、<I>N. udagawae</I> 近縁種は小コブ状の隆起、<I>A. viridinutans</I> は中間的な形状を示した。生育温度は、I が 50℃ でも生育するのに対して、II、III は 45℃ まで、IV、V は 42℃ まで生育し、明らかな違いがみられ、これは簡便な分類に利用できる。各種抗真菌薬に対する感受性は大きな差がなかったが、<I>A. lentulus</I> をはじめ非典型的な <I>A. fumigatus</I> は amphotericin B に対して、MIC が 1-2 μg/ml となり、高めの値を示した。
  • 五ノ井 透, 田中 玲子, 松澤 哲宏, 渡邉 哲, 矢口 貴志, 亀井 克彦
    日本医真菌学会総会プログラム・抄録集 51 65-65 2007年  
    抗がん薬、免疫抑制薬、ステロイド薬の投与などに伴う免疫機能が低下している患者において侵襲性肺アスペルギルス症が増加している。また、環境からしばしば分離されるアスペルギルス属菌は、肺アスペルギローマ、慢性壊死性肺アスペルギルス症、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症などの原因菌として、我々の生活を脅かしている。アスペルギルス症の主な原因菌である <I>Aspergillus fumigatus</I> について各種検体中(血液、喀痰、気管支肺胞洗浄液あるいは組織等)での存在を迅速に判定し、アスペルギルス症の診断・治療に役立てる目的で、リアルタイム PCR を応用した迅速定量法を開発した。PCRには、プローブとして Roche 社の Universal prove #115 と#160 を用い、genomic DNA の rDNA 領域を増幅し、蛍光を測定した。ヒト、マウスなどの宿主哺乳類やカビ、酵母、細菌の精製 DNA 標本を用いて調べた結果、プローブ #115 は <I>A. fumigatus</I> に対して高い特異性を示し、同菌のDNAを試験管あたり2胞子から106 胞子相当のレベルまで、直線的に検出することができた。また水溶液に懸濁した胞子をそのまま検出することも可能であった。現在、実験動物から採取した血液中の胞子の数の測定を試みており、これらの結果について報告する。
  • 矢口 貴志, 堀江 義一, 松澤 哲宏, 田中 玲子
    日本菌学会大会講演要旨集 51 83-83 2007年  
    <I>Neosartorya</I> 属は <I>Aspergillus</I> section <I>Fumigati</I> のテレオモルフ属で缶詰、瓶詰の事故菌やヒト、動物の病原菌として報告されている。今回は β-チューブリン、ハイドロフォビン、ITS 遺伝子などを用いて分子系統解析を行ない、形態的分類の結果と比較検討し種の評価を行なった。既知種とは異なる塩基配列を示した菌株は形態的性質を検討した。β-チューブリンでの解析結果が従来の形態学的知見を最も反映し 6 クラスターに分類された。クラスター I には <I>N. fischeri</I> が分類された。クラスター II には <I>N. botucatensis</I>, <I>N. laciniosa</I>, <I>N. paulistensis</I>, <I>N. spinosa</I> など子のう胞子レンズ面に針状突起構造を形成する種が分類された。クラスター III には <I>N. aureola</I>, <I>N. udagawae</I> と新種 <I>N. takadae</I> が分類された。<I>N. udagawae</I>, <I>N. takadae</I> はヘテロタリック種である。クラスター IV には <I>N. hiratsukae</I>, <I>N. primulina</I>, <I>N. pseudofischeri</I>, <I>N. quadricincta</I>, <I>N. spathulata</I>, <I>N. tsurutae</I> が分類された。これらの種の子のう胞子表面構造は多様であった。クラスター V には<I>N. aurata</I>, <I>N. multiplicata</I>, <I>N. nishimurae</I>, <I>N. stramenia</I>, <I>N. tatenoi</I> と新種と思われる <I>N. tunodae</I> と N-113 が分類された。クラスター VI には<I>N. fennelliae</I>, <I>N. fischeri</I> var. <I>verrucosa</I>, <I>N. glabra</I>, <I>N. otanii</I> と新種と思われる <I>N. kurosawae</I> と N-38 が分類された。<I>N. fischeri</I> var. <I>verrucosa</I> は他種と異なる塩基配列を示し<I>N. fischeri</I> とは系統的にも離れているため独立種と考えられる。N-38 は MA 培地上で既知種とは異なるオレンジ色の集落を形成した。
  • 矢口 貴志, 田中 玲子, 松澤 哲宏, 宇田川 俊一
    日本菌学会大会講演要旨集 51 84-84 2007年  
    <I>Penicillium</I> をアナモルフとする <I>Talaromyces</I> 属は、Pitt (1979) によれば <I>Talaromyces</I>、<I>Purpureus</I>、<I>Thermophilus</I> の 3 section に分けられ、タイプ種 <I>T. flavus</I> を含む sect. <I>Talaromyces</I> のみ series <I>Flavi</I>、<I>Lutei</I>、<I>Trachyspermi</I> に細分され、sect. <I>Purpureus</I>、<I>Thermophilus</I> はそれぞれ1種のみから構成されている。他に本属には <I>Geosmithia</I>、<I>Paecilomyces</I> をアナモルフとする数種があり、これらは Stolk、Samson (1972) の sect. <I>Emersonii</I> が当てられている。その後、Tayler 及び杉山らにより本属は分子系統的に多系統と指摘された。今回、最近追加された種を含む 42 種の 28S rDNA D1/D2 領域、β-チューブリン遺伝子の塩基配列を決定し、関連菌と合わせて、NJ 法により系統解析を実施した。その結果、2 遺伝子の解析からえられた系統樹はほぼ一致し、次の 5 群に再分類された。1) ser. <I>Flavi</I> の主要種から構成される菌群、2) ser. <I>Trachyspermi</I>、<I>Lutei</I> の一部から構成される菌群、3) ser. <I>Lutei</I> の一部を除いた種から構成される菌群、4) <I>T. luteus</I>、<I>T. ocotl</I>、<I>T. thermophilus</I> から構成される菌群、5) sect. <I>Emersonii</I> の一部の種から構成される菌群である。一方、<I>T. purpureus</I> は ser. <I>Flavi</I> と、<I>T. leycettanus</I>、<I>T. spectabilis</I>、<I>T. striatus</I> は<I>Hamigera</I>、<I>Byssochlamys</I> 属と系統的に近縁であった。全体として、ser. <I>Flavi</I> と 2) の <I>Trachyspermi</I>、及び 3) の <I>Lutei</I> の一部からなる菌群が単系統的なまとまりを示した。
  • 松澤 哲宏, 矢口 貴志, 堀江 義一, 田中 玲子
    日本菌学会大会講演要旨集 51 16-16 2007年  
    <I>Emericella</I> 属は <I>Aspergillus</I> のテレオモルフの1つであり、アナモルフは <I>Aspergillus</I> section <I>Nidulantes</I> に分類されている。レンズ形、赤紫~青色で赤道面に帯状隆起を持つ子のう胞子を形成し、この子のう胞子の形態が本属の種識別の指標となっている。現在 37 種 2 変種が報告されている。これまでの研究で我々は <I>Emericella</I> 属の属全体の系統関係を明らかにした。更に分子系統と子のう胞子の形態および最高生育温度やマイコトキシンの生産性といった生理・生化学的性状との相関を検討し、多相的な分類を試みた。その結果これら 3 者の間には相関性があることが認められた。<br> 今回新たに分離された種が、系統的に既存の種と異なるグループを形成した。そこで、SEMによる子のう胞子の形態の観察および最高生育温度を検討した。その結果、分子系統、子のう胞子の形態および生理学的性状、これら 3 つの分類指標が既存種と異なる結果を示したため、新種として報告する。<br> <I>Emericella</I> sp. IFM 55259 ~ 55265 の子のう胞子の形態学的特徴は、レンズ面が滑面であり <I>E. nidulans</I> に類似しているが、子のう胞子の形は <I>E. nidulans</I> より厚く丸みを帯びた形をしている。また、赤道面帯状隆起の帯の厚みが既存のどの種よりも厚くしっかりしているのが本種の特徴である。系統的には レンズ面に特徴的な隆起を持つ <I>E. rugulosa</I> に最も近いが、子のう胞子の形態は大きく異なる。最高生育温度に関しては、<I>E. nidulans</I> や <I>E. rugulosa</I> と同じ 48℃ を示した。本種と形態学的に最も類似しているのは <I>E. aurantiobrunnea</I> であるが、系統的に大きく離れており、最高生育温度が <I>E. aurantiobrunnea</I> が 37℃ 未満であるのに対し、本種は 48℃ であった。
  • 徳留 省悟, 石井 清, 一杉 正仁, 矢口 貴志
    千葉大学真菌医学研究センター報告 11(11) 74-74 2007年  
  • 徳留 省悟, 石井 清, 一杉 正仁, 矢口 貴志
    千葉大学真菌医学研究センター報告 11(11) 2007年  
  • 若菜大悟, 細江智夫, 板橋武史, 河合賢一, 矢口貴志, 福島和貴
    日本生薬学会年会講演要旨集 53rd 153 2006年9月1日  
  • 矢口 貴志, 堀江 義一, 松澤 哲宏, 田中 玲子
    日本医真菌学会総会プログラム・抄録集 50 15-15 2006年  
    <I>Neosartorya</I> 属は <I>Aspergillus fumigatus</I> などの病原真菌が分類される <I>Aspergillus</I> section <I>Fumigati</I> のテレオモルフで一部はヒトや動物から病原真菌として分離されている。<I>Neosartorya</I> 属は現在 26 種報告されているが、分類には子のう胞子表面の構造が重要視されている。近年、分子生物学的手法が導入されつつあり、系統が異なるが形態的には見分けがつかない種を創設する例も見られる。今回は <I>Neosartorya</I> を分子生物学的手法で解析し既知の種とは異なる系統を示す種について形態学的考察を加え、種の評価をおこなった。方法:報告されている種に加えて土壌などから分離した菌を β-チュブリン、ハイドロフォビン、ITS などの遺伝子を用いて解析を行い、既知の種と異なる系統を示した菌について子のう胞子表面構造等の形態学的観察をおこなった。<BR>結果:その結果 3 方法とも比較的類似した結果を得た。β-チュブリン遺伝子による分析では <I>Neosartorya</I> 属は 6 クラスターに分類された。また、7 株の菌が既知の種とは異なる系統を示した。これらの菌の形態的特徴を観察した結果、4 菌株は既知の種とは形態的にも異なる事が知られ、新種として報告する事がふさわしいと思われた。また、<I>N. fischeri</I> の変種として報告された var. <I>verrucosa</I> は系統的に <I>N. fischeri</I> と遠い事が判明した。それらの菌の形態的特徴と近縁種との比較検討の結果を報告する。
  • 松澤 哲宏, 矢口 貴志, 堀江 義一, 西村 和子
    日本医真菌学会総会プログラム・抄録集 50 16-16 2006年  
    目的<br> <I>Emericella</I> 属は <I>Aspergillus</I> のテレオモルフの 1 つであり,真菌症原因菌として医学的および発ガン性マイコトキシン生産菌として食品衛生上,重要な属である.これまで,本属の分類は主として SEM を用いた子のう胞子の表面構造を基に行われており,系統関係が充分解明されていない.そこで,分子系統解析を行い,分子系統と従来の分類指標である形態学的知見およびマイコトキシンの生産性の 3 つの指標を用いて詳細な分類を行い,それらの相関関係を検討した.<br> <br>方法<br> ITS 領域,β - チューブリン,ハイドロフォビン遺伝子およびステリグマトシスチン生合成系遺伝子の 1 つである <I>stcE</I> 遺伝子の塩基配列を決定し,各遺伝子について NJ 法による分子系統解析を行った.得られた系統樹と形態的知見およびステリグマトシスチンの生産性との相関性を検討した.<br> <br> 結果<br> 今回使用した 4 遺伝子のうち,β - チューブリン,ハイドロフォビンおよび <I>stcE</I> 遺伝子での解析結果はほぼ一致した.一方,一般に種の分類で用いられている ITS 領域においては,塩基配列の違いがあまり大きくなく,本属の詳細な分類には適さなかった.分子系統と子のう胞子の形態的知見との相関を検討したところ,子のう胞子の赤道面隆起の幅が狭く,レンズ面が滑面である典型的な形態を示す種が 1 つのグループを形成した.さらに,レンズ面に特徴的な隆起を持つ種,レンズ面が網目状になる種,特徴的な付属糸を有する種といった,特徴的な形態を示す種がそれぞれ別々のクラスターを形成し,分子系統と子のう胞子の形態には相関性が見られた.ステリグマトシスチンの生産性については,典型的な形態を示す種,レンズ面に隆起を有する種およびその近縁種に生産性が集中する傾向が見られた.
  • 田中 玲子, 矢口 貴志, 松澤 哲宏, 西村 和子, 宇田川 俊一
    日本菌学会大会講演要旨集 50 40-40 2006年  
    <I>Fonsecaea pedrosoi</I> は、クロモミコーシスの原因菌の一つで,皮膚病変の他、脳を含む内臓諸臓器の病変を惹起する事も知られており,本種を含む <I>Fonsecaea</I> 属は,病原性黒色真菌の中で最も重要な属である.2004 年,de Hoog 等が ITS 領域の系統解析で本属を <I>F. pedrosoi</I> と新規提唱の <I>F. monophora</I> に分け,<I>F. pedrosoi</I> と <I>F. compacta</I> とに分ける伝統的な分類を分子系統的に検討し,<I>F. pedrosoi</I> と <I>F. compacta</I> は同一種であると報告した.そこで,千葉大学真菌医学研究センター保存の臨床および生活環境由来の <I>Fonsecaea</I> 属に含まれる菌株について,既存のデータと合わせ系統解析を実施した.<BR> 結果:ITS 領域に関する結果は,de Hoog 等が示した系統樹,および Surash 等の報告とほぼ一致し,今回検討した日本産の分離株は <I>F. monophora</I> と同じグループに類別された.このグループは,<I>F. pedrosoi</I>,<I>F. compacta</I> の代表株とは系統的に明確な違いを示し,Tanabe 等の ITS 解析による"rDNA Type 2"ともほぼ一致した.さらにこのグループは 2 つのサブグループに分かれ,その 1 つに日本産の菌株がすべて含まれ,もう一方のサブグループにアフリカ,南アメリカ由来の株が含まれていた.また,チトクローム <I>b</I> 遺伝子においても,ITS 領域とほぼ同様の系統樹となったが,<I>F. monophora</I> のグループは系統的な差がなく 1 つのクラスターにまとまった.これらの結果から,日本産の <I>F. pedrosoi</I> は de Hoog 等が提唱した <I>F. monophora</I> であると考えられた.今回の検討では <I>F. compacta</I> に属する菌株は,ITS 領域,チトクローム <I>b</I> 遺伝子において <I>F. pedrosoi</I> の代表株と系統的に差がみられた.
  • 矢口 貴志, 堀江 義一, 伊藤 純子, 田中 玲子, 松澤 哲宏, 西村 和子
    日本菌学会大会講演要旨集 50 43-43 2006年  
    千葉大真菌センターに <I>Aspergillus fumigatus</I> として保存されている菌株において、β‐チューブリン、ハイドロフォビン遺伝子、ITS 領域の塩基配列を決定し、関連菌と合わせて系統解析を実施した。さらに SEM による分生子表面構造の詳細な形態的知見と系統との相関性および生理学的性状を検討した。<BR><B>実験方法</B>塩基配列の決定および系統解析: PCR は Ready-To-GoTM PCR Beads を用い、プライマーは ITS 領域では ITS1、4 を、β‐チューブリン遺伝子では benA1、A2 を、ハイドロフォビン遺伝子では rodA1、A2 を使用した。塩基配列の決定には、BigDye Terminator Ver. 1.1 を用い、ABI PRISM 3100 で行なった。系統樹の作成は、Clustal X を使用し、NJ 法で行なった。<BR><B>結果および考察</B> 系統解析の結果、3遺伝子ともほぼ同様の系統樹を示し、Section <I>Fumigati</I> に属する菌種は5つのクラスター I.<I>A. fumigatus</I> が属する菌群、II.<I>A. lentulus、A. fumisynnematus</I> が属する菌群、III.既存の種とは異なる菌群、IV.<I>A. viridinutans</I> が属する菌群、 V.<I>A. brevipes、A. duricaulis、A. unilateralis</I> が属する菌群に分かれた。これまで、<I>A. fumigatus</I> と同定された臨床分離株の多くは I に含まれたが、中には、II、III、IV に属する菌株があった。SEM による分生子の表微細構造の観察では、I、IV、V に属する菌株は刺状突起、II、III は小コブ状の隆起を示した。生育温度は、I が 50℃ でもよく生育するのに対して、II は 45℃ まで、III - V は 42℃ まで成育し、明らかな違いがみられた。この生育温度の違いは、簡便な分類に利用可能である。以上より、III に属する菌株は、分子系統的、形態的に新種と考えられる。
  • 矢口 貴志, 堀江 義一, 松澤 哲宏, 田中 玲子, 西村 和子
    日本菌学会大会講演要旨集 50 13-13 2006年  
    <I>Neosartorya</I> 属は現在までに 26 種が報告されている。その分布の中心は土壌であるが食品、穀類などからも分離され、近年ブラジルから多くの新種が報告されている。今回、新たに分離された本属に含まれる種の子のう胞子等の形態を観察したところ、既知種とは異なる性状を示した。さらに、<I>Neosartorya</I> および <I>Aspergillus</I> section <I>Fumigati</I> に属する種の系統関係をβ-チューブリン、ハイドロフォビン遺伝子、ITS 領域の塩基配列を用いて検討したところ、既知種とは系統的な差が認められたため新種として報告する。<BR><I>Neosartorya</I> sp. CBM FA-0693 x CBM FA-0694:ヘテロタリック種で子のう果は白色。子のう胞子はレンズ形で赤道面に 1 対 2 枚の帯状隆起を形成し、レンズ面は針状からいぼ状の突起。頂のうはフラスコ形、分生子は球形から亜球形で表面は滑面。ヘテロタリック種は 5 種報告されているが既知種とは子のう胞子の形態が異なる。本種はブラジル、サンパウロ州の土壌から分離された。系統的には <I>N. aureola、N. udagawae</I> と近縁であった。<BR><I>Neosartorya</I> sp. No. 111: 子のう果は白色。子のう胞子はレンズ形で赤道面に 1 対 2 枚の低い帯状隆起を形成。レンズ面は明瞭な網目構造を形成。他種に形成される赤道面隆起間の小突起は隆起に変化している。頂のうはフラスコ形で分生子は幅の広い楕円形、表面は滑面。ブラジル、ペルナンブコ州、セハタ・ラーダの果樹園土壌から分離された。<BR><I>Neosartorya</I> sp. No. 107:子のう果は白色、子のう胞子はレンズ形で赤道面の 2 対 4 枚の幅の広い帯状隆起を形成する。レンズ面には不規則な隆起、溝を形成。分生子柄は短く、頂のうはフラスコ形で分生子は亜球形から幅の広い楕円形で表面は滑面。本種はブラジル、ペルナンブコ州、セハタ・ラーダの乾燥した荒地土壌から分離された。系統的には <I>N. multiplicata </I> と近縁であった。
  • 松澤 哲宏, 矢口 貴志, 堀江 義一, 西村 和子
    日本菌学会大会講演要旨集 50 8-8 2006年  
    目 的 : <I>Emericella</I> 属は <I>Aspergillus</I> のテレオモルフの1つであり、 <I>Aspergillus</I> section <I>Nidulantes</I> に分類されている。現在 34 種 2 変種が報告されており、真菌症原因菌としての報告もある。また、本属の多くの種で発がん性マイコトキシンであるステリグマトシスチンの生産性が報告されており、食品衛生上重要な種である。このように <I>Emericella</I> 属は、医学および食品衛生学の両面で重要な種であるが、本属の分類は主として SEM を用いた子のう胞子の表面構造を基に行われており、系統関係が充分解明されていない。そこで、系統を反映していると考えられる遺伝子の塩基配列を用いた分子系統解析、マイコトキシンの生産性および従来の分類指標である形態学的知見の 3 つの指標を用いて詳細な分類を行い、それらの相関関係を検討した。<BR><BR>方 法 : β‐チューブリン、ハイドロフォビン遺伝子および rRNA 遺伝子の ITS 領域の塩基配列を決定し、各遺伝子について NJ 法による分子系統解析を行った。得られた系統樹と形態的知見およびステリグマトシスチンの生産性との相関性を検討した。<BR><BR>結果・考察 : <I>Emericella</I> 属においては、β‐チューブリンおよびハイドロフォビン遺伝子での解析結果はほぼ一致した。一方、一般に種の分類で用いられている ITS 領域においては、塩基配列の違いがあまり大きくなく、本属の詳細な分類には適さなかった。さらに、分子系統とこれまでの分類の指標である子のう胞子の形態との相関性を検討したところ、一部例外はあるものの、子のう胞子のレンズ面が平滑で、赤道面隆起の幅が狭いという典型的な形態を示す種は1つのクラスターを形成した。また、レンズ面に隆起を持つ種、レンズ面が網目状になる種、付属糸を有する種といった、特徴的な形態を示す種は、それぞれ別系統のクラスターを形成し、分子系統と子のう胞子の形態には相関性が認められた。また、ステリグマトシスチンの生産性については未調査種が存在し、かつ一部例外があるものの、典型的な形態を示す種、赤道面帯状隆起を 2 対 4 枚有する種およびレンズ面に隆起を有する種に生産性が集中する傾向が見られた。
  • 徳留 省悟, 石井 清, 一杉 正仁, 西村 和子, 矢口 貴志
    千葉大学真菌医学研究センター報告 10(10) 101-101 2006年  
  • 徳留 省悟, 石井 清, 一杉 正仁, 西村 和子, 矢口 貴志
    千葉大学真菌医学研究センター報告 10(10) 2006年  
  • 若菜大悟, 飯塚徹, 細江智夫, 板橋武史, 駒井信一郎, 河合賢一, 矢口貴志, 福島和貴
    日本生薬学会年会講演要旨集 52nd 132 2005年8月19日  
  • 若菜大悟, 野沢幸平, 細江智夫, 板橋武史, 矢口貴志, 福島和貴, 河合賢一
    日本薬学会年会要旨集 124th(2) 136 2004年3月5日  

共同研究・競争的資金等の研究課題

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