矢口 貴志, 堀江 義一, 松澤 哲宏, 田中 玲子
日本菌学会大会講演要旨集 51 83-83 2007年
<I>Neosartorya</I> 属は <I>Aspergillus</I> section <I>Fumigati</I> のテレオモルフ属で缶詰、瓶詰の事故菌やヒト、動物の病原菌として報告されている。今回は β-チューブリン、ハイドロフォビン、ITS 遺伝子などを用いて分子系統解析を行ない、形態的分類の結果と比較検討し種の評価を行なった。既知種とは異なる塩基配列を示した菌株は形態的性質を検討した。β-チューブリンでの解析結果が従来の形態学的知見を最も反映し 6 クラスターに分類された。クラスター I には <I>N. fischeri</I> が分類された。クラスター II には <I>N. botucatensis</I>, <I>N. laciniosa</I>, <I>N. paulistensis</I>, <I>N. spinosa</I> など子のう胞子レンズ面に針状突起構造を形成する種が分類された。クラスター III には <I>N. aureola</I>, <I>N. udagawae</I> と新種 <I>N. takadae</I> が分類された。<I>N. udagawae</I>, <I>N. takadae</I> はヘテロタリック種である。クラスター IV には <I>N. hiratsukae</I>, <I>N. primulina</I>, <I>N. pseudofischeri</I>, <I>N. quadricincta</I>, <I>N. spathulata</I>, <I>N. tsurutae</I> が分類された。これらの種の子のう胞子表面構造は多様であった。クラスター V には<I>N. aurata</I>, <I>N. multiplicata</I>, <I>N. nishimurae</I>, <I>N. stramenia</I>, <I>N. tatenoi</I> と新種と思われる <I>N. tunodae</I> と N-113 が分類された。クラスター VI には<I>N. fennelliae</I>, <I>N. fischeri</I> var. <I>verrucosa</I>, <I>N. glabra</I>, <I>N. otanii</I> と新種と思われる <I>N. kurosawae</I> と N-38 が分類された。<I>N. fischeri</I> var. <I>verrucosa</I> は他種と異なる塩基配列を示し<I>N. fischeri</I> とは系統的にも離れているため独立種と考えられる。N-38 は MA 培地上で既知種とは異なるオレンジ色の集落を形成した。