高須賀 昌志
環境芸術 9 37-44 2010年
本論は、2007年4月に東京六本木の防衛庁本庁檜町庁舎跡地に完成した東京ミッドタウンに隣接する檜町公園に制作した作品について考察したものである。作品の制作過程において与件と場が持つ来歴や景観などの外在する要素と、作品の形態・機能・色彩・素材などの造形諸要素との間に、具体的にどのような関係性を構築したのか、また、それらを如何なる根拠に基づいて種々の選択・決定をおこなったのかについて明らかにする。さらに、環境芸術を成立させる過程に存在する「施主」、「コーディネーター」などの他者が、作者の創造に対してどのように作用しているかについても考察する。創作の変遷を具に振り返り、自らの作品を成立せしめている核心について明らかにし、環境芸術作品の創造過程の一つの立脚点を提示する。