林 立也

<p> 従来の学校教室は窓開け換気を前提としているため、適切な換気設備が整っていない場合が多い。換気により室内環境を向上しつつ、省エネルギーに貢献する装置として全熱交換器が挙げられる。そこで本研究では、竣工から約55年経過し、十分な換気設備が導入されていない既設校舎の隣接する同方位、同仕様の教室A、教室Bの2教室を対象として、教室Aのみに全熱交換器と透明ガラリを導入し、設備導入を実施しない教室Bとの比較により効果を検証する。</p>

<p>健康リスクの予防や健康増進に建築物の性能や温熱環境は重要な要素のひとつと成り得る。本稿では、快適室温と皮膚温度の関係についての被検者実験 (3名) を実施した。3名の被験者の平均値は、申告した快適室温で24.9℃、平均皮膚温で33.3℃であった。申告した快適室温は被験者による違いは最大で1.8℃, 平均皮膚温の違いは0.9℃あり、前者は後者よりも個人差という点で大きくなった。</p>

<p>既報では、暑熱環境下で被験者に短期的な複数のタスクを繰り返させる実験を行った。単純な作業成績には温熱環境の影響が見られなかったものの作業の安定性には一定の影響が見られた。本報では、より現実に近い実験条件で作業者の生理量をより詳細に計測することによって、温熱環境の厨房作業における厨房作業者の精神的負荷への影響を確認することを目的とする。</p>

<p>本報では、冬期におけるオフィス環境を想定し、被験者実験を行い、45分における単純作業の作業成績と室内環境に関する主観評価の結果の関係分析を行なった結果、さらに代表被験者の集中状態およびストレス状態の結果について報告する。分析結果として、冬期の温熱環境は夏期と比べると、短時間の作業成績への影響は小さい可能性があることを示唆した。また、作業に対するモチベーションを保ちながら、解答を継続し、疲労やストレスを蓄積している可能性がある。</p>

<p>国土交通省は日本の不動産企業のグローバルな投資獲得を促進するため、ESGへの取り組みに優れた不動産の普及促進を図ることを目的に新たな認証制度のあり方を公表した。既に普及している不動産の環境性能評価手法に加え、執務環境の良質化、知的生産性の向上などの観点から、働く人の健康性、快適性に優れた不動産を評価する仕組みの必要性と、その評価の枠組みが示された。その内容を受けたツールの開発段階に行った統計分析や現地調査に関する報告である。</p>

<p>近年、社会環境の改善が国民の健康に影響を及ぼすことを踏まえ、地域や職場等を通じた健康増進への働きかけを必要としている。しかし、どのような環境改善を行うべきかについては、具体的に明らかにされていない。そこで本研究では、執務環境の主観評価ツールであるCASBEE-OHCを開発し、有効性の検証を目的として、WEBアンケートを実施した。結果として、執務環境は作業効率や健康状態に影響を及ぼすことが確認された。</p>

<p>本報では、某社本社ビルの全従業員を対象とした大規模アンケート調査を実施し、オフィス、住まい、地域などの生活環境の健康性に関する主観評価結果と執務者の健康状態の関係分析を行った結果について報告する。分析結果として、オフィスの健康性評価ツールであるCASBEE-オフィス健康チェックリストの有効性が確認されたとともに、執務者の生活環境の中で、オフィス環境が執務者の健康状態に最も影響を与えている可能性が示唆された。</p>

<p>本研究では、クリーンセンターに設置されている蒸気駆動抽気復水タービンとガスタービンコージェネレーションシステムのエネルギー供給システムの運転制御を変更し、通常時におけるCO2排出量と光熱費の削減効果を検討することを目的とした。本報では、クリーンセンターのエネルギー供給システムを電力負荷追従型から熱負荷追従型に変更することで、CO2排出量と光熱費が削減できることを示した。</p>

<p>知的生産性と省エネルギー性の両立を目指した最適なオフィス設計・運用方法策定のために必要な基礎的データ収集を目的として実施した被験者実験の単純作業の成績とアンケートによる主観評価結果の関係、室内物理環境と被験者の集中度、ストレス状態の関係について分析した結果について報告する。</p>

<p>知的生産性と省エネルギーを考慮した最適なオフィス設計・運用方法策定のための基礎的データ収集のための被験者実験を行い、室内物理環境と単純作業の成績との関係の分析を行った。</p>

<p>本研究では、初めに実測結果を用いた建材内有効拡散係数校正による教室内VOCs濃度分布の高精度CFD解析手法を開発する。さらに、この解析手法を用いて吹出・吸込口の数や換気回数を変化させた場合の濃度分布、換気効率への影響を解析することで、室内VOCs濃度の指針値に基づく換気設備停止時間とその間欠運転による省電力効果を算出し、省エネルギー性の高い換気運用方法を提案する。</p>

<p>国内ではゼロエネルギー建築への検討が進む中、学校施設に対するZEBへの期待は大きく、本研究では長期休暇等の普通教室の未利用時間における換気設備の間欠運転による省エネルギーを目的として、建具の隙間などから生じる隙間換気に注目した研究を行った。屋外・室内CFD解析を行うことで隙間換気量とその室内分布を明らかにし、『学校衛生基準』のVOCsの指針値を下回る室内空気質を維持できるかを検討する。</p>

<p>外食産業の市場規模は年々拡大してきている。一方で、外食・中食産業は他産業と比べても、生産性が高いとは言えず、離職率が高い。原因の一つに作業者の温熱環境が劣悪であることが挙げられる。厨房は加熱機器である調理機器が配置されているため、夏期を中心として過ごしやすい環境とは言えない場合が多い。本研究では、温熱環境の観点から働きやすい厨房の提案を目的とし、温熱環境と生産性向上の定量評価を目指した被験者実験を行った。</p>

<p>近年、社会環境の改善が国民の健康に影響を及ぼすことを踏まえ、地域や職場等を通じた健康増進への働きかけを必要としている。しかし、どのような環境改善を行うべきかについては、具体的に明らかにされていない。本研究では、知的生産性及び健康に関するWEBアンケート調査を実施する。結果として、作業効率や労働機能障害の有病リスクには執務環境が、また健康状態には住まい環境や個人属性が影響することが確認された。</p>

<p>建築物の更なる省エネルギー化推進のためには、企画、設計段階から運用管理段階に至る一貫した評価指標と評価手法で性能検証を行うライフサイクルエネルギーマネジメントの枠組みが重要である。また、用途別にエネルギー消費量を推計する手法も必要となる。そこで、本報では、官庁施設を対象とした運用実態を考慮したエネルギーマネジメントの枠組みと用途別エネルギー消費量の推計法について検討した結果を報告する。</p>