林 立也

<p>本研究では、既成市街地の都心部密集地域におけるスマートエネルギーネットワークの可能性として、通常時と災害時の2つの側面から、クリーンセンターを中心としたスマートエネルギーネットワークに対するEVごみ収集車の導入効果について定量的な検討を行った。通常時では、蓄電池の充放電効率によって効果は低下したが、災害時には、蓄電池を導入することで地域の避難所の電力需要量を全てカバーすることができるため効果が示された。</p>

<p>スマートエネルギーネットワークによる省CO2 まちづくりの取り組みについて稼働実績による街区全体のエネルギー性能評価と、CASBEE-街区による環境性能総合評価、ライフライン途絶抵抗係数（レジリエンシーファクター）を用いたレジリエンシー評価の結果について報告する。</p>

<p>小学校における普通教室の年間利用時間は1500時間程度であり、残りの7000時間が未利用であることを勘案すると、換気エネルギー消費量の大幅な削減を実現するためには、長期休暇等の児童不在時において停止の可能性も含めた機械換気の運用方法を検討すべきである。 具体的には教室の内装材等から放散する化学物質の濃度を計測し、蓄積による基準値超過等のリスクを評価することによって、安全性を満たした上で管理可能な範囲を把握することが必要である。</p>

<p>我が国は超高齢化社会を迎えており、高齢者施設が増加している。しかし、室内環境状態が好ましくない施設が多いことが懸念される。室内環境が好ましい施設に誘導するためには、施設の状態を定量的に示す指標を作ることが有効である。本報では、健康状態に関連する室内環境を調査し、高齢者施設に関係する方々が望ましいと考える施設であることを定量的に示す指標と試行結果について報告する。</p>

<p>集中作業のための個室ブースが知的生産性向上のためにしばしば利用される。個室ブースの環境制御を効率的に行うためには、生体情報を用いて作業者の状態を判断することが有効であると考えられる。本研究は集中状態の定量化と、その変動パターンの予測方法を開発するために、集中状態と生体情報の相関を被験者実験により検証した。</p>

<p>近年重要度の高い建物において免震構造を採用する例が増加している。それに伴い免震層をクールヒートトレンチとして利用し、外気負荷を削減することが有効と考えられる。一方免震層はクールヒートトレンチと比べて面積が大きいことから温熱環境の分布について利用をする上で考慮する必要がある。本論文は,郊外における地下免震層を利用したクールヒートトレンチの基礎資料を得ることを目的とした。</p>

<p>建築においては多くの再生可能エネルギー利用技術があり、これらの省エネルギー対策を推し進めることが求められる。建築分野で再生可能エネルギー導入技術の普及をすすめるためには、アクティブ対策だけでなく、地熱利用等のパッシブ対策も含め、再生可能エネルギーの導入効果量を明確に示す必要がある。本報では再生可能エネルギー技術による省エネルギー効果を表す指標『再生可能エネルギー導入率』について、主な技術を対象としたその算出方法について提案し、再生可能エネルギーの建築分野における活用拡大を目的とする。</p>

<p>小学校施設におけるゼロエネルギー化へ向けた現状把握と課題点の発見についての研究である。具体的には空調機器の設定温度、運転時間、消費電力についての分析、考察を行う。結果として、現状では設定温度の基準値に対して柔軟な運用を行っており、管理状況は一様ではない。また、設定温度を基準値に近づけることは電力消費量を抑える上では効果的であると考えられるが、デマンド管理にはより詳細に個別対応する必要性があると考えられる。</p>

<p>関東4都県に建つ定員100人以上の介護老人保健施設を対象として、室内環境に関するアンケート評価を行った。回答結果より、施設内での風邪やインフルエンザの感染対策や熱中症対策に施設側が配慮している状況が伺えた一方で、室温の管理やその記録は手動で介護系職員が行っている状況が確認され、空調管理の効率化による入所者と施設側の改善の方向性が示された。</p>