西堀 眞弘, 渡邊 憲, 宮崎 安洋, 田中 直文, 荒川 真一, 千葉 由美, 二宮 彩子, 大橋 久美子, 田中 博, 上村 健二, 宮田 公佳, 中口 俊哉, 津村 徳道, 三宅 洋一, 滝脇 弘嗣, 鬼頭 伸一郎, 洪 博哲, 橋本 憲幸
医療情報学 25(3) 161-166 2005年12月
マルチスペクトルイメージングは医用画像の色再現の問題を解決できるだけでなく,さまざまな方面への応用により医療に飛躍的な進歩をもたらす画期的な技術である.しかし,あまりに多様な可能性が存在するため,個々の応用形態の実現に至る道筋にはいくつもの分かれ道があり,少しでもアプローチを間違えると行き止まりになってしまう.著者らはマーケティング的な視点からこの迷路のような医療市場に一定の法則を見い出し,それを基に成功の可能性が高い2つのアプローチ法を明らかにした.すなわち各ピクセルに分光反射率を記録できる分光画像技術と,見え方が実物にきわめて近い実物色画像である.前者は人間の視覚能力を超えた形態学的診断につながる技術であり,後者はデジタル画像に基づく形態学的診断の精度向上につながる技術である.なお,前者は多くの開発資源を必要とし,ごく限られた症例において,きわめて画期的な医学的効果を発揮する一方,後者の医学的効果は一定の範囲に留まるものの,必要となる開発資源が比較的少なく,かつ広範な臨床現場において膨大な利用機会が見込まれる.(著者抄録)