研究者業績

上野 尚久

ウエノ タカヒサ  (Takahisa UENO)

基本情報

所属
千葉大学 大学院理学研究院
学位
学士(理学)(2019年3月 千葉大学)
修士(理学)(2020年9月 千葉大学)
博士(理学)(2023年9月 千葉大学)

ORCID ID
 https://orcid.org/0000-0003-3204-4887
J-GLOBAL ID
202201005266577705
researchmap会員ID
R000043819

生物多様性が個体群や群集、生態系にどのような影響(効果)をもたらすのかについて興味をもっています。最近は、多種共存の理論も勉強しています。

通常、遺伝子は身体を構成するタンパク質を作るための指示書、すなわち個体レベルの性質を決定する因子、としてよく知られています。そのような遺伝子が、個体より高次元の性質、例えば個体群の動態など、をも説明しうる要素であるかもしれないことが、近年いくつかの研究で示唆されてきています。

ゲノム上の役割がよくわかっていない遺伝子はまだまだ多くあると言われています。そのうちのいくつかは、もしかしたら個体より上の生物学的階層から眺めることで初めて、その役割が見えてくることがあるかもしれません。

takahisa.ueno3[at]gmail.com


論文

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  • Takahisa Ueno, Akiko Takenoshita, Kaiya Hamamichi, Mitsuhiko P. Sato, Yuma Takahashi
    Scientific Reports 13(1) 2023年12月19日  査読有り筆頭著者
    Abstract Seasonal environmental change is one of the most rapid and striking environmental variables. Although relatively rapid adaptation to environmental changes over several years or several decades has been described in many taxa, rapid responses to seasonal environments are delicate, and therefore, the detection of the evolutionary responses requires sensitive methods. In this study, we examined seasonal changes in phenotypes related to thermal tolerance and morphological traits of Drosophila lutescens collected at the spring and autumn periods from a single location. We first demonstrated that flies in the two seasonal periods were almost genetically identical using double-digest restriction site-associated DNA sequencing and analysis. Using an experimental design to eliminate the effect of possible confounding factors that influence phenotypes (i.e., maternal effects and the environmental conditions in which each phenotype was analyzed), we showed that the heat tolerance of D. lutescens was significantly higher in the autumn population than in the spring population. Furthermore, cold tolerance was slightly higher in the spring population than in the autumn one. Although wing length and thorax length did not change significantly between seasons, the ratio of wing length to thorax length changed significantly between them. These results suggest that seasonal environmental heterogeneity induces rapid phenotypic changes within a year. Finally, we discuss the possibility of rapid evolutionary responses to seasonal changes.
  • Takahisa Ueno, Yuma Takahashi
    Biology Letters 17(7) 20210194-20210194 2021年7月  査読有り筆頭著者
    Intrapopulation variation in behaviour, including activity, boldness and aggressiveness, is becoming more widely recognized and is hypothesized to substantially affect ecological and evolutionary dynamics. Although previous studies used candidate-gene approaches and genome-wide association analyses to identify genes correlated with variations in activity and aggressiveness, behavioural variation may not be fully captured in the nuclear genome, as it does not account for mitochondrial genomes. Mitochondrial genes encode products that are key regulators of the cellular energy-producing pathways in metabolic processes and are thought to play a significant role in life-history and reproductive traits. In this study, we considered many isofemale lines of Drosophila immigrans established from two wild populations to investigate whether intrapopulation variation in the mitochondrial genome affected activity level within this species. We identified two major haplogroups in these populations, and activity levels in both larvae and adults differed significantly between the two haplogroups. This result indicated that intrapopulation variation in activity level may be partially controlled by mitochondrial genes, along with the interaction between nuclear and mitochondrial genes and the age of individual organisms.
  • Takahisa Ueno, Yuma Takahashi
    Ecology and Evolution 10(24) 14388-14393 2020年12月  査読有り筆頭著者
    Genetic diversity within a population, such as polymorphisms and personality, is considered to improve population performance because such intraspecific variations have the potential to alleviate the competition for a limited resource or the risk of predation and sexual harassment at a population level. Variation in the level and rhythm of daily activity in a population could also affect population performance by directly altering ecological, social, and sexual interactions among individuals. However, it remains to be elucidated whether such intra-population variation in the level and rhythms of daily activity exists in a natural population. Here, we investigated the genetic variation in daily activity within a single natural population of Drosophila immigrans. We established 21 isofemale lines from a single natural population and measured larval activity level and the level and daily pattern of adult activity over a 24 hr period. Larval activity level significantly varied among isofemale lines. Likewise, the activity level in the adult stage significantly varied among lines. The significant variation was also found in the daily pattern of adult activity; some lines showed greater activity level in the daytime, and others showed greater activity level in the night. Our results consistently suggest that there is a genetic variation in behavioral activity in a natural population, probably contributing to shaping the population performance.

主要な講演・口頭発表等

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  • Ueno, Takahisa, Yuma Takahash
    The Joint Meeting of the Annual Meeting of the Society of Population Ecology and Taiwan-Japan Ecology Workshop 2024 2024年11月15日
  • 上野尚久, 高橋佑磨
    日本生態学会第71回全国大会 2024年3月17日
    遺伝的多様性は、さまざまな生物種内の個体間でみられる普遍的な現象であり、種多様性とともに生物多様性を成立させる要素である。従来の生態学においては、個体間の遺伝的変異は平均化され、生態的動態に対する遺伝的多様性の影響を積極的に考慮してこなかった経緯がある。一方、近年では、種多様性だけでなく遺伝的多様性も個体群や群集の動態、生態系機能(生産性など)を非相加的に変化することがわかってきている。このような生態的効果は、それぞれ「種間多様性効果」と「種内多様性効果」と呼ばれている。しかし、生態的動態において、種内多様性効果が種間多様性効果に対して相対的にどれほど重要であるかの理解は進んでいない。なぜなら、多くの研究は種間と種内の多様性効果を別々に検証してきたからである。そこで、本研究では、ショウジョウバエ(Drosophila)属昆虫5種を用いて、種多様性と遺伝的多様性を実験的に操作した群集または個体群を作成し、それらの生産性を同時に測定することで、種間多様性効果と種内多様性効果を直接比較した。野外に生息するショウジョウバエ5種の雌成虫を採集し、各種の近交系統(単雌系統)を複数作成した。まず、各系統それぞれを単独で飼育し、個体群全体の重量を測定した。次に、各種内の2系統の組み合わせと2種間の系統の組み合わせで混合飼育し、遺伝的に多様な個体群と群集全体の重量を測定した。最後に、種内の組み合わせと種間の組み合わせにおいて、各多様性効果(組み合わせの生産性の実測値と各系統でみられた生産性の期待値との差)を算出した。その結果、種内多様性効果が種間多様性効果を卓越する傾向にあることがわかった。遺伝的多様性は種多様性よりも生態的動態に対して大きなインパクトをもちうることが示唆された。
  • Takahisa Ueno, Yuma Takahashi
    British Ecological Society Annual Meeting 2023 2023年12月13日
  • 上野尚久
    日本生態学会関東地区会公開シンポジウム「若手で語ろう!生態学:自然史と理論をつなぐ生態学」 2022年12月10日

共同研究・競争的資金等の研究課題

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学術貢献活動

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  • 企画立案・運営等
    2022年10月 - 現在
  • 企画立案・運営等
    2022年6月 - 現在
    コロナ感染症の拡大による学術コミュティのオンラインへの急速な移行がなされており、その中で若手研究者の交流の機会が減少している現状にある。このような状況の改善を図るため、陸上植物を対象とした第1弾、動物を対象とした第2弾を皮切りに、今後も他のトピックについて「若手で語ろう!」会の輪を広げ、若手研究者間の交流機会の創出、ひいては生態学を盛り上げることに繋がることを期待する。
  • 企画立案・運営等
    髙田悠太・上野尚久・松村健太郎 (第68回日本応用動物昆虫学会大会) 2024年3月29日
    招待講演者 古賀 隆一(産業技術総合研究所) 宮竹 貴久(岡山大学)
  • 企画立案・運営等
    永濱 藍(国立科博)、上野尚久(千葉大)、野口 奨悟(九州大)、原 直誉(京都大)、夫婦石 千尋(九州大)、富本 創(九州大)、大崎 壮巳(広島大)、高屋 浩介(京都大)、植村 洋亮(北海道大) 2023年5月21日
    どうすれば研究テーマが見つかるのか。これは、研究をはじめたばかりの学部生や大学院生、若手研究者の多くが最初に抱える大きな疑問であり、新しい研究テーマを見つけたい気鋭の研究者にとっても同様であろう。しかし、この疑問に模範解答は存在せず、“研究のはじまり“は人それぞれである。例えば、ある生き物への愛や探求心がきっかけで研究がはじまる人もいれば、「生物間相互作用」や「生物多様性」といった現象への興味から研究がはじまる人もいるだろう。今回のシンポジウムの第1部では、幅広い分野の若手研究者をお招きし、ご自身の研究内容を紹介していただくとともに、その研究のルーツについて語っていただく。講演後に実施するパネルディスカッションでは、「どうすれば研究テーマが見つかるのか」という疑問について講演者を中心に、聴衆も交えて議論を行う。パネルディスカッション後の第2部では、参加者を小グループに分け、参加者間で研究紹介やそれに関連する質疑応答を行うことで、若手研究者間の交流の機会を設ける。本シンポジウムは、「気持ちが若手」であれば実年齢は問わず、どなたにでも参加していただきたい。「若手で語ろう!生態学」シリーズ第4弾となる本企画が、さまざまな立場で活躍する研究者間の交流および研究テーマ創出のきっかけを与える機会となり、ひいては生態学分野の今後の発展に繋がることを期待する。
  • 企画立案・運営等
    永野裕大(東大・農), 西村一晟(横浜国立大), 上野尚久(千葉大・院・融), 夏目佳枝(東大・農) (日本生態学会第70回全国大会) 2023年3月19日
    Tilmanらの長期野外実験に端を発する「生物多様性―生態系機能(BEF)関係」の解明は生態学の中心的テーマの1つである。様々な生態系における実験的・自然条件下での研究から、生物多様性(種・機能形質・遺伝子)に伴って生態系機能が向上・時空間的に安定化するというパターンが多く報告されてきている。この多様性と機能間の正の関係性の説明として「ニッチ分化による効率的な資源利用(相補性効果)」と「高い機能をもつ種の優占(選択効果)」が提案され、生物多様性効果の分離検証がなされてきた。生態系機能の安定化については、環境変動に対する応答の種間差(応答の多様性)などの効果が明らかになりつつある。近年では、複数栄養段階での生物間相互作用や生態系の多機能性へとBEF関係の研究対象が拡張されてきた。しかし、種・遺伝子のもつ重要な特徴の特定や自然条件下における状況依存性の理解が不足している。またBEF関係は人間社会の持続可能性を考える上でも重要である。生物多様性に支えられている生態系機能は、人間社会に必要不可欠であり、その恩恵は生態系サービスとして知られている。一方、近年の気候変動や人為的影響により生態系が劣化し、あらゆる階層での多様性が急速に失われてきている。それに伴い生態系の潜在的機能も低下し、人間社会の持続可能性も危惧されている。そのため生態系のあらゆる階層での生物多様性と生態系機能の関係性を解明し、得られた基礎生態学的知見にもとに人間社会の直面する課題を解決へと導くことが求められる。本集会では、基礎から応用まで幅広くBEF研究を進める4人の大学院生が研究を紹介し、コメンテーターとして東京大学の森章教授を迎えてBEF研究の今後の展望や応用上の課題について議論する。本集会が日本におけるBEF研究の活発化に繋がることを期待したい。
  • 企画立案・運営等, パネル司会・セッションチェア等
    上野尚久、野口奨悟、永濱 藍、植村洋亮 2022年12月10日
    コロナ感染症の世界的な流行が続くなか、国内の学術コミュニティの多くはいまだオンラインでの実施を余儀なくされ、若手研究者の交流の機会が減少している現状にある。「若手で語ろう!生態学」では、このような状況の改善を図るため、これまでに陸上植物や動物の研究に着目して、若手研究者の参加を募ったオンライン企画を2回実施してきた。本企画シリーズの主な目的は、生態学のさまざまな分野において本会の輪を広げ、若手研究者間の交流機会の創出と生態学に関連する学問分野全体を盛り上げることにある。 第3弾となる本企画では、自然史と理論をつなぐことに焦点を当てる。生態学を含む自然科学では、観察・操作実験・数理モデル・シミュレーションなどさまざまな手法を駆使して、ダイナミックな生命現象を追究してきた。すなわち、同じ生態学的課題を取り組むにあたって、研究者ごとに得意な手法や興味のある手法を選択することができるのだ。しかし一方で、異なる手法を扱う研究者同士が、互いの立場の着想に触れながら、研究を議論する機会が限られていることも事実であろう。そこで、本シンポジウムの第1部では、多岐にわたるアプローチに焦点をあて、幅広い分野の若手研究者が自身の研究を紹介する。また、2名の研究者が数理系研究者と観察・実験系研究者の研究におけるコラボ経験を紹介し、手法の垣根を越えた共同研究の将来性についても議論する。それらの講演と同時に実施するパネルディスカッションでは、発表者を中心に聴衆の方々を交えて、数理モデリングやシミュレーションを駆使して追究すること、または観察や実験を通して追究することの喜びや苦労を共有し、研究アプローチの選び方などを議論したい。パネルディスカッション後の第2部では、参加者を小グループにわけ、グループディスカッション形式で、参加者同士で簡単な研究の紹介とそれに関する質疑応答を行ない、若手研究者間の交流の機会を設ける。
  • 企画立案・運営等, パネル司会・セッションチェア等
    上野尚久・高橋佑磨 (第38回個体群生態学会) 2022年10月2日
    群集や個体群、コロニーといったシステムの動態は、種や個体といった構成要素からでは予測できない現象である。本シンポジウムでは、要素の集合による非相加的な生態効果を議論し、生態学の新たな平地を切り拓く。
  • 企画立案・運営等
    横溝 匠 ・永野裕大・西村一晟・谷川鴻介・藤岡薫子・上野尚久・平野 侑・網野 海・竹重志織 2022年2月20日

その他

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