根本 充貴, 増谷 佳孝, 花岡 昇平, 野村 行弘, 三木 聡一郎, 吉川 健啓, 林 直人, 大友 邦
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 2013年9月13日
我々は以前よりCT像上の解剖学的ランドマーク(LM)の自動検出処理の研究に取り組んでいる.検出対象LMの中には,撮像時の体位の差によりLM局所形態が大きく変化するものが含まれ,そのことが検出性能の向上の妨げとなっていた.例えば,烏口突起先端,肩峰先端,肩甲骨下端の肩関連LMでは,両腕を頭上に上げた体位(腕上げ)と両腕を体幹横に下げた体位(腕下げ)とで,LM周辺のアピアランスが大きく異なる.しかし,以前我々が提案したCTデータからのLM候補点(LMC)検出手法では,このようなLMアピアランスの大きな変化を考慮しておらず,肩関連LMの検出性能が低かった.本研究では,上記6種類の肩関連LMの検出性能向上のため,体位によるLM局所アピアランスの変動を考慮したLMC検出・FP削減処理の学習を導入した.腕上げ体位のCTから得られるデータのみを用いて学習したLMC検出・FP削減処理と,腕下げ体位のCTから得られたデータのみで学習したLMC検出・FP削減処理を,LM検出を行う画像の腕位置に応じて選択的に適用した結果,腕の位置を考慮せず学習した場合に比べ,性能の向上が見られた.