泉 康雄
Journal of the Society of Inorganic Materials, Japan 29(11) 390-396 2022年11月1日 査読有り招待有り筆頭著者最終著者責任著者
カーボンニュートラル(carbon neutral)という言葉は,現在では学校や新聞,週刊誌で見聞きする一般用語となっている.カーボンニュートラルに基づくCO2削減目標は,持続可能開発目標(sustainable development goals, SDGs)と言える.このSDGsという略語も流行語となっており,これまた一般用語となりつつある.
CO2と材料とは密接に関係するように思うが,本稿では材料の中で光触媒を取りあげる.光触媒には光に応答する錯体や無機半導体を基にするものが知られているが,本稿ではいわゆる材料と関連の深い,無機半導体を中心に述べる.
化石燃料の燃焼で生成したCO2を,再生可能エネルギーを用いて燃料に戻すことができれば,CO2の排出と吸収を等しくするカーボンニュートラルサイクルを実現することができる.光エネルギーは,太陽光発電に代表されるように再生可能エネルギーとして大いに期待されており,筆者の研究室では光触媒を用いてCO2を燃料に戻すことを目指した.